Book4 t3
□ソシクエ 名前
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そして、そんなユナの顔を見て、その人物は自分の名前の由来について語り始めた
クォン・ユ「あのね、私、心の中にもう一つ名前があるの」
ユナ「…はい」
ヒョヨンはもうその話を聞いたことがあるのか、興味をなくしてテヨン達の方に向かい始める
ユナはマンツーマンでなんだかうさんくさい彼女の話を聞かなくてはならない状況になってしまった
クォン・ユ「実は私の本名はクォン・ユリっていうの
だけど、旅に出るときって、
いろんな大人の事情で5文字以内の名前にしないといけないじゃない?」
ユナ「はあ…」
クォン・ユ「でもね、私の本名って『ク』『ォ』『ン』『・』『ユ』『リ』って6文字なのよ
それで、この際本名じゃなくてあだ名にしようかとか、いろいろ考えたりして本当に悩んだんだけど…」
ユナ「はあ…」
クォン・ユ「黒真珠(くろしんし゛ゅ:7文字)とかいろいろ候補を考えたんだけど、
どれもこれも5文字超えちゃうの
で、「もうそれなら」って本名を入る分だけ詰め込んで今の名前になったのよ」
かれこれ10分以上話は続き、説明が長かったにも関わらず、
思ったよりどうでもいい理由だった
ユナ「オンニ、それって『クォンユリ』って詰めたら入ったんじゃない?」
クォン・ユ「でも…それじゃあなんだかしっくりこなくて…」
『クォン・ユ』の方がよっぽどしっくりこないのは気にならないのだろうか
そう思ったが、心優しいユナはそれを口にしなかった
ユナ「下の名前だけで『ユリ』とかは?
私も本名は『イム・ユナ』だけど、旅の時の名前は『ユナ』だよ?
テヨンオンニ達もそうだし」
クォン・ユ「えっ!そうなのっ!?!?」
心底驚いた様子で目を見開いてユナを見つめるクォン・ユ
いや、寧ろなぜ名前つけるときにそれを一番に考えないのかが不思議だよ…
そう思ったが、心優しいユナは…(略)
クォン・ユ「ゆ…ユナっ!
改名って…改名ってどうしたらいいのっ?」
クォン・ユは椅子から立ち上がり、半泣きの顔でユナに縋りつくように尋ねた
ユナ「えっと…確か、ずっと遠くの山の頂上にある町に改名できる教会があったような…」
クォン・ユ「ぼんどに゛!?
ぞごでがいめ゛いでぎるの゛!?」
いつの間にか鼻水やら何やら出して号泣しながら服を握りしめられ、
クォン・ユから引くぐらいに必死の形相で尋ねられる
ユナ「で、できるよっ
オンニ、安心してっ…」
クォン・ユ「ゆ、ゆな゛ぁあああ!!」
ユナ「スヨンオンニならきっと場所とかも詳しく知ってるはずだから」
クォン・ユ「連れてってぇぇぇええ!!
私をそこに連れてってぇぇええ!!!」
ユナ「オンニ、わかった
大丈夫だよ、一緒に行こうね
安心してね」
クォン・ユ「ゆな゛ぁぁあああ……!!!!」
こうしてクォン・ユはのっぴきならない事情でテヨン達と旅を共にすることになった