Book4 t3

□ソシみて Red or Pink 3
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薔薇ファミリーである以上、私の妹問題が学内でとりわけ注目されやすい話題であることはわかっている
これまで受け継がれてきた薔薇の系統を次代に引き継いでいく
これはリリアン女学園の歴史の一部である深刻な問題なのだ

だけど、黄薔薇さまは私の言葉に予想外の反応をなさった


黄「テヨンちゃん、薔薇ファミリーだからってあまり深刻に取り過ぎないでいいのよ?
ホギョンだって、ユリちゃんと出会わなかったらきっと妹なんて作ってないわ」


テヨン「えっ…、そうなんですか?白薔薇さまが?」



とても想像できない
あの、妹大好き…というかユリ大好きで生徒会の活動にも熱心な白薔薇さまが


黄「ユリちゃんがいるから学校に来てるようなものよ、ホギョンは
去年の夏休みなんてユリちゃんと海外に逃亡してしまったじゃない
私たちに生徒会の仕事を押し付けて」


テヨン「あ〜…
あははっ そんなこともありましたね」


そうだった
昨年、白薔薇さまは夏休みに入るとすぐにユリを拉致した
そして、「ユリと駆け落ちします」
薔薇の館にその一言だけのメモを残し、
夏休みのほとんどを使ってユリと世界旅行をされていた

さすが航空会社のご令嬢
やることの規模が違う
そしてなんとも自由過ぎる


黄「ホギョンの素直さは好ましいけれど、時々困ってしまうわ」



困った顔をしながらも、どこか微笑んでお話されているのだから、
きっと黄薔薇さまはそんな親友のことを全部受け入れていらっしゃるのだろう

でも、そっか…
白薔薇さまのように、妹にしたいと思う相手が現れるまであまり焦らない方が良いのかもしれない

でも、妹にしたい相手、かぁ…


そんな相手なんて現れるのか見当もつかなくて、黄薔薇さまの前で思わずため息が漏れてしまった



黄「私がソニと出会えたように、テヨンちゃんも素敵な子に出会えるといいわね」


囁くようにそう言ってふんわり微笑んだ黄薔薇さまは、なんだかとても幸せそうだった
黄薔薇さまの幸せそうな笑顔を見ると、
妹から“お姉さま”と呼ばれることの幸せも大きいんだろうなって思う



テヨン「私の妹に出会えますかね…?」


黄「それはマリア様のみぞ知る、ね」


テヨン「うあ〜…私、妹作れるかなぁ〜…」


黄「ふふふっ 案外もう出会っているかもしれないわよ?」


テヨン「そうなのでしょうか…」


思わず頭をぐしゃぐしゃにかきむしりたい衝動に駆られる
またグルグルと思考の迷路にハマりそうになったところで、
再びタイミングよく黄薔薇さまの声がそれに歯止めをかけた


黄「テヨンちゃん、リアのこともよろしくね
それでは、ごきげんよう」


テヨン「あっ、黄薔薇さま、ごきげんよう」



私が考え込んでいるうちにいつの間にかバス停まで来ていたなんて気付かなかった
黄薔薇さまに別れを告げて慌てて来ていたバスに乗る

バスの中から外を見ると、
黄薔薇さまは私に気づいて笑顔で小さく手を振ってから私に背を向けて歩き出した
私は黄薔薇さまに向けて何度か小さくお辞儀をしてその背中を見送った





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