Book2 s

□蜘蛛と蝶 飢えを満たすもの
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YoonA side




ウンジュと別れてから、
私は仕事をたくさん詰め込んだ



ウンジュとの別れが思った以上に堪えたのもあるし、
オッパと幸せそうにするシカオンニを見るのも耐えられそうになかったから








私はウンジュと別れたことを誰にも伝えなかった

誰かに話してしまったら、
そこから気持ちが決壊して私が崩れそうで







こんな気持ちのままじゃ私はまたオンニに何をしてしまうかわからない


危ういバランスの上にあるような状態の私は、
シカオンニに会うのが怖かった































「ただいま…」


深夜まで及ぶ撮影を終えて宿舎に戻る



きっとオンニ達が深夜まで仕事して帰ってくる私を気遣ったのであろう

リビングの電気は点けられたままだった







「はぁ〜〜…」



カバンをそこら辺に投げ置き、
ソファにドカッと座った





疲れた…






私は今の自分の状況を悟られないようにするため、
スタッフさんやマネージャーオッパ、そしてオンニ達の前など人のいる場所では
なるべく笑顔を絶やさないようにしていた











まるでずっと仮面を被っているみたいだ…








最近は仮面を被ることも難しくなってきて、
テヨンオンニに心配顔で見つめられている

少し話をしようと言われたけれど、
「疲れのせいだから心配しないで」
そう言って、私はオンニと話すのを拒んだ








深夜の誰もいない部屋で、私はやっと仮面をはずす







私はこのまま一生こんな生活を続けていくのだろうか


苦しいほどにシカオンニを求めながら、
誰かと愛し合うオンニを見つめるなんて




この虚無感と苦しみにいつか慣れることができるのだろうか










私は前かがみになって両手を組み、
そこに額をのせた




当てのない暗闇を彷徨い続けているような
そんな絶望感すら感じる


自分がどこに向かってるのかわからない
出口があるのかすら







私は深い溜息をついて顔を上げ、
何を見るわけでもなく、
ただすぐ目の前の床を見つめながらそんなことを考えていた






















すると

誰かが後ろから私を抱き締めてきた





「なんて顔してるの…?
なんで笑ってないの?」





耳元でシカオンニの泣きそうな声がした






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