Book2 s

□羽音の行方 あなたへの距離
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Jessica side








ユナ…今頃撮影かしら?





オッパとのデートの帰りの車の中、
私はそんなことを考えながら窓の外の流れる景色を眺めていた










オッパ「ジェシカ …ジェシカ?」


シカ「あ、ごめんなさい
何?」


オッパ「もうすぐ宿舎の近くに着くぞ
いつもの場所でいいか?」


シカ「うん」






宿舎から少し離れた人通りの少ない道路
オッパは周りに人がいないことを確認してそこに車を停めた




オッパ「ジェシカ またな」





そう言って片手をハンドルに置いたまま唇を寄せてくるオッパ
私は黙って受け入れる



チュッ





顔を離した後、
オッパを見ながら私はなんとなく聞いてみた




シカ「ねぇオッパ」


オッパ「ん?」


シカ「私のこと…好き?」


オッパ「な、何だよ急に
好きだよ」


シカ「そう…」




私はドアを開けて車を降りる

運転席のオッパに手を振ると、
オッパは車を発進させた








私、なんであんなこと聞いちゃったのかしら…?





遠ざかっていくオッパの車をぼんやり眺めながら物思いにふける








私は?

私はオッパのこと、好き?






自分に問いかけてみる





うん 好き
だから付き合ってるんだもの









じゃあユナは?









ユナは…








答えが出てこない





以前なら「好き」って即答できたのに…

ユナに対する好きという言葉に
以前と違った意味が含まれている気がして、
私は簡単にそう言えなくなった









私、ユナが好きなの…?
同性のユナを?








うちのグループにはテヨンとティファニーという同性カップルがいる
二人はメンバーに自分達の関係を隠さず打ち明けてくれたし、
私もそんな二人のことを応援してる

でも、まさか自分が…?









少し前のことを思い出す
ユナとウンジュさんが楽屋で楽しそうにお弁当を食べながら話していた日


あのとき私は仲良さそうな二人の姿に
胸が痛くて苦しくて泣きそうで…





少し前にオッパと女優さんの噂を聞いたときも辛かったけれど、
それはオッパが心変わりしたのかと思って悲しくて悔しかっただけ

あんなに胸が痛くて苦しくはならなかった




私…ユナが好きなの…?







薄々感じているこの感情の正体
でも、私はそれを受け入れることに戸惑っていた





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