Book2 s

□きみはペット
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Jessica side









仕事を終えて家に帰る



なんとなく流れで就いた仕事だけど、
最近ようやく仕事が楽しいと思うようになった

家に帰るのが遅くなっても、
全然苦にならないくらい













しかし、今日は最悪だった


セクハラで有名な上司が
私の胸を見つめながら揉むような仕草をしてセクハラ発言かましだしたので、
つい顔面を殴ってしまった









あ〜私、どうなるんだろ…


左遷?
クビ?



折角仕事が楽しい盛りの時なのに…






イライラとした気持ちでマンションに帰っていると、
エントランス付近にくたびれた段ボールが置いてあった






誰よ!
こんなとこに汚い段ボール置いたの!
私の視界にこんな小汚ないもの入れないでよ!
デカイし邪魔なのよ!

もうっ
イライラする!





思わずバッグを段ボールにぶつけて八つ当たりすると、
段ボールはドスッと鈍い音を立てた






え?
何か入ってるの?



軽く重なって閉じているだけの段ボールの蓋をそっと開けると、
中には人がいた





げっ!
人がいたなんて

でも、こんなとこにいる方が悪いのよ…!





ちょっと焦ったけど、
私は悪くない
そう思って放っといて家に戻ろうとすると


「ぅ……うぅ………」





中からうめき声が聞こえた




「うぅ………お…おなかが…」




シカ「え?」




慌てて段ボールの中をもう一度覗くと、
段ボールの住人がお腹を押さえて
苦しそうにしていた




シカ「やだ
ちょっと大丈夫?
あなた家は?
救急車呼ぶ?」


「救急車はやだ…
おうち帰りたくない」


シカ「ちょっと何言ってんの?
ここで野たれ死ぬ気?」


「お姉さんのおうちに…
うっ…」


そう言ってまたお腹を押さえてうずくまる




シカ「うちに入れるわけないでしょ
知りもしない人そんなホイホイ入れるほど軽くないの」



そう言って断ったときだった





ポツ…


ポツ…ポツ…




シカ「え?雨?」



ポツポツポツポツ…





シカ「ちょっとあんた
こんなとこで寝てたら本当に死ぬわよ
うちに帰りなさいよ」


「いやだ…おうち嫌だもん
うぅ…」



そう言ってる間にも雨は強くなり、
ダンボールに大きな染みを作り始めている





もう!
今日は本当についてないわ





シカ「わかったわよ!
雨が止むまでならいていいから」


「ほんと…?」


シカ「ホントよ
だから早く行くわよ
立てるの?」


「うん……がんばる…」



ダンボールから起き上がり
ヨロヨロとなんとか歩き始めるダンボールの住人



シカ「ほら 辛いなら掴まりなさい」


「お姉さん…ありがとう」






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