Book2 s

□バカップル 譲れないもの
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YoonA side




結婚生活20日目




今日はドラマ撮影の打ち上げ

お店を貸しきってスタッフさんやキャスト皆で飲んで騒いでわいわいしていた






打ち上げを迎えると、
やっと「あ〜終わったんだな」って実感が湧いてきた

大変だったけど、いろんなことを学んだ現場だったし、
スタッフやキャストも皆仲良くてとても雰囲気が良く、
楽しみながらも集中して撮影に臨むことができた





打ち上げが始まり、
監督さんやキャストさん達が一人ひとり挨拶をしていく


私もスタッフの皆さんや監督、そしてキャストの皆さんにお礼を言い、
笑顔で挨拶を終えた






みんなの挨拶が終わると後はフリータイム
撮影大会を始める人や飲みながらおしゃべりに興じる人など、
皆それぞれの時間を過ごしていた








しばらくすると、誰かが遅れて合流したのか、
入り口近くの奥の方から「いらっしゃ〜い!」という声が上がって大盛り上がりになっていた








遅れていらっしゃった方がいるならご挨拶に行かないと…


私はコップを持って立ち上がり、声のした方へ向かう









向かった先にはなぜかシカオンニがいて、
たくさんの人に囲まれていた



ユナ「あれ?オンニ?」



私がそう声をかけると、オンニは安心したような顔をしてふわっと笑った



シカ「ユナ…」


ユナ「どうしたの?
今日は仕事終わるの遅いって言ってなかった?」


シカ「予定より早めに終わったの」




すると、脇役でドラマに出演していた私より3つ年上の俳優さんが私達の話に割り込んできた




俳優「そう!で、ちょうど電話かけたときにそれを知って俺が打ち上げに誘ったの!
打ち上げは家族同伴可だしさ
それならユナの奥さんのジェシカもいいだろ?」


そう言って、オンニの肩に腕を回してにやけているそいつ




口では私の奥さんだからと言いながら、
明らかにオンニ目当てなのがバレバレだった

オンニはどうしていいか分からず、
少し困った様子で顔に作り笑いを貼り付けている




あ〜この人は酔うとタチ悪いって聞いたことあったんだった…


ドラマ撮影のときは感じの良い人だったんだけれど、
正直今この瞬間には殴ってやりたい衝動しか湧いてこない





私はイライラを抑えてその人に声をかける


ユナ「そうだったんですね
ありがとうございました
それでは、妻は私が連れて行きます
ジェシカ 一緒に監督のところにご挨拶に行こう?」


監督の名前を出せば酔っていても大人しく引っ込むだろう




そう思っていたんだけれど…




俳優「監督のとこ行くの?
じゃあ俺も一緒に行こ
よし!ジェシカ 行くぞ!」


そう言ってシカオンニの手を引っ張って、
監督のところへズカズカと歩き始めてしまった


シカ「え?私は…
ユナっ…」



シカオンニは俳優さんにいきなり強く引っ張られて驚いた後、
私に困惑の表情を見せながら引きずられて行ってしまった






あいつ…

シカオンニにあんな乱暴なことするなんて許さない…








シカオンニを囲んでいた他のスタッフさん達もちょっと戸惑った表情を見せ、
一部その俳優と仲の良いらしいキャストさん達は
「あいつ、またか…」と呆れたような表情をしていた



慌ててオンニのあとを追いかけようとしたけれど、
笑顔で私にお酒を持ってきてくださった大御所の俳優さんに捕まってしまった

ドラマの労をねぎらうお言葉とよくやったねという嬉しいお言葉を頂き、
嬉しいんだけどなかなか話を切り上げることができない




あぁ…オンニのとこに行きたいのに…






こんなことがなければきっと私は笑顔でお話をしていただろう
きっと頂くお言葉は心に染み渡っていたに違いない

だけど、今は嬉しいはずの言葉も耳を通り抜け、
焦りばかりが募っていく









ようやくお話を終えた頃には、
シカオンニと離れてから結構な時間が経っていた







焦りながらオンニを探してキョロキョロと周りを見渡していると、
さっきシカオンニを囲んでいたスタッフさんとキャストさんが私に話しかけてきた



スタ「ユナさん…あれちょっとヤバイと思うんですけど…」



そう言って、シカオンニがいるらしい方向を指差すスタッフさん




キャスト「あいつ酔うと手がつけられないからな…
今日ずっとジェシカさんが餌食になってるかも」


キャスト2「あっちでお話中みたいですけど○○さん呼んで来ましょうか?
あいつの事務所の大御所の先輩だから、
○○さんの言うことなら聞くかも…」


ユナ「いえ、いいです
自分の妻は自分で守りますから

でも、いざというときは…殴っても大丈夫でしょうか?」




そう言うと、スタッフさんは「え!?」と驚いた顔をして、
キャストさんは
「うん 気にしないでやっちゃっていいよ」
と苦笑いしていた



「ありがとうございます」と軽く頭を下げた後、
私は急いでオンニの元に向かった






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