Book3 t2

□片時雨 雨音
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TaeYeon side




マネ「お〜い 用意できてるか?
もう行くぞ」


テヨン「は〜い すぐ行きます」




昨日の夜はなんとなく顔を合わせづらくて、一人で外食に出かけた
他のメンバーには「引きこもりのテヨンが珍しい」とか言われちゃったけど…


今朝は同じ移動車で仕事に送ってもらうから
朝食が同じタイミングだった
二人で朝食を無言でモグモグやってるのは、
傍(はた)から見れば相当面白い光景だったに違いない

本人達の必死さは別として





移動車に乗り込んで席に座る
私の後からティファニーが乗り込んできて、少し考え込むような仕草をした後、
私の隣の席に座った



え?




ティファニーと仕事が一緒の他のメンバーもこの車で出るし、まだ二人しか乗ってないから、
ティファニーはてっきり私を避けて座るもんだと思ってた

ティファニーは隣の席に座って小さくゴクリと喉を鳴らした後、
意を決したように私に話しかけてきた



パニ「ねぇ テヨン
昨日の…」


テヨン「あ〜ごめんっ
驚かせたよね
うん、ごめんね」



朝から振られるのは勘弁してほしい
この後の仕事が笑顔でできる気がしない




テヨン「ずっと言うつもりはなかった
だけど、昨日オンニ達の話聞いたら…
なんか言っちゃった

ははっ ごめんね」


パニ「ううん 私も…その…
ごめんね…」





何に対する“ごめん”なんだろう




だけど、私は怖くて聞けなかった
いや、答えなんてわかりきってるから、改めて聞き返したくなかった




テヨン「ごめん、気まずいよね
それになんかきもちわるかったらごめん」


パニ「そんなことっ…」


テヨン「ティファニーが嫌なことはしないから…
だから、これからも気にしないでいてくれたら嬉しい」


パニ「そんなことない
嫌なことなんてないから…

テヨン、ずっと友達でいてね」




あ、今のきた…
ばっさり断られた




嫌じゃないならなんで?
なんてそんなこと言わない


言いたいけど… 言わない





テヨン「ありがとう
うん、友達ね」




“友達”って残酷な言葉なんだって初めて知った
近くにいられるけど、近過ぎてはいけない関係


今、彼女の手で私と彼女の間にくっきりと境界線が引かれた
この友達の線を越えないでねって





泣きたいけど… 今は泣かない


彼女が気にしてしまうから







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