Book4 t3

□ソシみて Red or Pink 2
2ページ/3ページ

ユリ「あははっ
ま〜テヨンが楽しそうなら別にいいんだけど、妹はどうするの?
そろそろテヨンも妹のこと本気で考えた方がいいと思うよ?」


テヨン「…うん…
妹いないの私だけだしね」


ユリ「まあ妹つくるのは義務ってわけじゃないけど、やっぱり妹がいてくれるといろいろ違うよ〜
可っ愛いもん!

この前なんかね、ジェシカが
“おねえさま、これ好きですよね
べっ、別にいらないなら返してくれていいですからっ”
って言いながら私の大好きなお菓子くれたの!
ぐふふっ 可愛かった〜!

顔真っ赤にしてさ、
顔背けながら手だけ伸ばして私に渡そうとしてるくせに、
受け取るか不安でちらちら見てるの」


ソニ「あははっ ジェシカらしいわ
で?受け取ったんでしょ?」


ユリ「そりゃもっちろん!
ジェシカごと抱き締めて受け取ってあげたわよ!」


とそこで、ユリの話に笑っていたソニが急に不審な顔をして彼女を見た



ソニ「…あ
それってこの前の木曜日のこと?」


ユリ「うん!そうだよ

…って、なんでわかったの?
ソニ、あんたエスパー!?」


ユリがさっきの私と同じようにソニを驚愕の表情で見た後、両手で自分の胸あたりを隠し、
まるで彼女を痴漢扱いするかのような構えを取った

…というか、なんでこの話の流れで自分の胸を守ろうとするのか、ユリの行動が理解できない
相変わらず彼女の行動は謎だ


でも、ユリの言いたいことはわかる
やっぱりさっきソニが私の行動を当てたのも、
私達に秘密裏に何か仕掛けているからなんじゃないだろうか
ソニはお金持ちのお嬢様なだけあって私達一人ひとりにGPSでもつけて監視してるんじゃあ…!


私の中でもソニのストーカー説が再燃してきた



ソニ「いや、あんたこの前の木曜日に頬を腫らしてたじゃない
どうせそのときにジェシカにぶたれたんでしょ」


テヨン「あ!そういえばほっぺた真っ赤だった」


その日、ユリの真っ赤なほっぺにビックリして「どうしたの?」と何度も聞いたけれど、
ユリは「ちょっと階段で転んでね」って笑いながら答えるだけだった

どう考えても階段で転んでほっぺたを腫らすなんてありえないからしつこく聞いたけれど、
結局ユリが笑顔だったからそのままそれには触れないことにしたんだった


ユリ「あ…、うん
実はね、あの日なの えへへっ!」


ソニ「ユリ、あんたもうちょっと上手く嘘つきなさいよ
あんたの嘘は周りを余計に混乱させるのよ」


ユリ「へ?なんで?」


多くの生徒は未だ知らない
薔薇の館では、連日のように黄と白のつぼみの漫才が行われていること

ユリは美人で運動神経も抜群で、
周りの生徒達から憧れの眼差しで見つめられながらキャーキャー言われているのに、
時折予想できないタイミングで予想できないボケを繰り出してくる

それを上手い具合に的確にツッコめるソニは本当に頭が良いと思う
実際に、運動もできるし、勉強もいつもトップの凄い子だ


そんな二人を見ていると、薔薇のつぼみになるべくしてなった子達だといつも思う
それに比べ、私は取り柄と言ったら歌くらいしか思い浮かばないしな…


二人のボケとツッコミをぼんやり見ながらそんなことを考えていると、
いつの間にかユリが私の目の前で手を振りながら私を呼んでいた



ユリ「お〜い、テヨン
起きてる?」


ソニ「どうしたの?
何か悩んでるなら聞くわよ?」


テヨン「いや、ん〜…
ただ…、妹かぁ〜って思っただけ」


ユリ「テスト終わったらいろいろ仕事増えるし、
テヨンにもいたらいいよねって感じで言っただけだからね
まあそう深刻にとりなさんな!」


テヨン「ん…
まあぼちぼち考えてみるよ」


ユリ「喫茶店の子がリリアンの子だったら一番良かったのにね」


ソニ「私もそう思ったんだけどね
リリアンの子じゃないのよね〜…」


山百合会幹部になった以上、妹を作らなきゃいけないとは思っている
だけど、自分のことで精一杯で、妹なんてまだ遠い未来のことだと思っていた
だけど、もうそんなことは言っていられない時期にきている


あの子のように笑顔が可愛くて、明るい子がいたらなぁ…


あの子が私を“おねえさま”と呼んで傍にいてくれる
そんなことを想像しただけで、なんだか頬が緩んだ


だけど、無理だもんな〜…


あの子は学外の子だし、年がいくつなのかも知らない


はぁ〜…妹か…



もやもやとしたやりきれない思いを抱えながら、頭をテスト勉強へと切り替えていった





→あとがき
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ