Book4 t3

□ソシみて Red or Pink 4
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TaeYeon side


「そうだった…」


なんてことだ…
私としたことが…


喫茶店に現れたお姉さまとデートに出かけて数時間後
お姉さまのおうちの自家用車で送っていただいて寮に戻り、ご飯を食べてお風呂に入って、
お姉さまに買ってもらったお土産を広げて今日の出来事に浸っていたらふと思い出した


そうだった
折角ティファニーと連絡先を交換する約束ができたのに、そのチャンスをふいにしてしまった

明日…
また明日行くからそのとき聞こう




お姉さまとの久しぶりのデートで楽しかったワクワクした気持ちと、
明日ティファニーの連絡先を聞かなきゃってそわそわした気持ちで、
その日は上手く寝つけなかった












ソニ「おはよ
何そのわっかりやすいクマ」


テヨ「おはよ
あ、やっぱり目立つ…?」


次の朝、明らかな寝不足の証拠を隠すため目元を温めたりしてみたけれど、
どうやら全然誤魔化せなかったようだ
私は俯いて気配を消し、クラスメートの視界に入らないようにしてこそこそと自分の席に着く
ソニは不思議な顔をしながらも私につき合って静かに移動して、
私の前の席に座って後ろを振り向き、こっそりと話しかけてきた


ソニ「あの後、紅薔薇様と何かあったの…?」


テヨ「ううん
えへへっ 昨日のデートね、とっても楽しかったよ
お姉さまにこれ買ってもらっちゃった
お揃いなの」


そう言って、嬉々としてバッグにつけたキーホルダーを見せる
それを見るとソニは安心したように微笑んだ


ソニ「紅薔薇様と何かあったわけじゃないのね?
紅薔薇様、最近特にお忙しいみたいだからもしかして何かすれ違いでもあったのかと思ったわ」


テヨ「ううん、何もないよ
心配かけてごめんね
嬉しくってなかなか寝付けなかったんだ」



ソニを安心させるように笑顔でそう返すと、彼女はよしよしと私の頭を撫でて笑った


カシャッ



え?


ソニの動作と連携するように近くから聞こえた変な音
音の聞こえた方を振り返ると、そこにはカメラを構えた写真部の友達がいた



「はぁ〜いいわね
紅薔薇のつぼみと黄薔薇のつぼみの麗しき友情物語
次代を受け継ぐ薔薇ファミリーの歴史を語るにふさわしい一枚が撮れたわっ」


テヨ「うぇっ!?
ちょっ!何でこんなとこ撮ってんの!?」


目の下に大きなクマさんが鎮座している今日の私を薔薇ファミリーの歴史に加えてほしくない
そう思って慌てていると、ソニが私の肩に手をかけて顔を近づけてきた


キャーー!


こっちを見ていたらしいクラスメートから途端に歓声があがる


ソニ「はははっ こっちのポーズの方がよくない?」


「いいわねっ!
テヨンさんも目線こっちで!」


普段は写真撮影にそこまで積極的ではないくせに今日は珍しくノリノリなソニにテンションが上がったのか、
写真部の友達は連写でもしてんのかってくらい連続でシャッター音を響かせる


テヨ「ちょっ!今日は本当に勘弁してってば
ソニっ!絶対わかっててやってるでしょ!?」


ソニ「あははっ え〜?何が?」



一通り撮り終えて満足したらしい友達を見送ってからソニをじとっとした目で見ると、
彼女はそんなのを意に介さぬように笑った



テヨ「ぐぬぬっ…絶対後で仕返ししてやる…」


ソニ「はいはい、ごめんね
帰りに喫茶店でおごってあげるから
どうせ今日も行くんでしょ?」


テヨ「行く」


ソニ「あははっ 即答
今日は連絡先交換しないとね」


テヨ「うん
実は今から行きたいくらいなんだけどね
っていうか、今日は学校休んで行きたいくらいだったんだけどねっ」



今日の使命を思い出して燃えたぎる思いでそう言うと、
ソニは「そう言えば…」と私の机に頬杖をついて話し始めた



ソニ「昨日さ、テヨンと紅薔薇様が出て行った後
なんかちょっと元気なかったのよね、あの子…」


テヨ「え?」


ソニ「私が『テヨンの連絡先教えましょうか?』って言ったら、
『大丈夫です。ありがとうございます』ってやんわり断られたし」


テヨ「え…」


ソニ「まあ、昨日のこと謝って今日交換してもらったら?」


テヨ「うん…」


昨日のこと謝って連絡先交換してもらおう
そして、ちゃんと友達になるんだ!



テスト直前なのに、その日の授業はほとんど頭に入ってこなかった
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