Book4 t3

□ソシみて Red or Pink 8
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TaeYeon side


「ごきげんよう
またお会いしたわね」



夏休み後半
白薔薇さまとお約束した通り、
私はティファニーを連れて二人で薔薇の館に向かった
部屋に入ると、お姉さまが顔を上げ、私達を見て意味ありげに微笑む
私はお姉さまの微笑みの意味がわからなかったけれど、
ティファニーは私の隣で少しだけ苦笑いして「こんにちは」と挨拶を返した

疑問に思いながらも、私は薔薇の館に集まっていた皆様にティファニーをご紹介する


テヨ「皆様、こちらが秋からリリアンに編入するティファニーです
早くリリアンに慣れることも兼ねて、私達のお仕事のお手伝いをしてくれることになりました」


パニ「ファン・ティファニーです
秋から1年に編入します
よろしくお願い致します」


ティファニーがペコリと頭を下げると、皆様それぞれに声をかけて彼女を優しく迎え入れてくれた
一通り挨拶を済ませると、ソニの隣に座っていたスヨンが立ち上がり、ティファニーの傍にやってきた


スヨ「私はチェ・スヨン
同じく1年生だよ
よろしくね、ティファニーさん」


パニ「ありがとう、スヨンさん
こちらこそよろしく」


二人はお互いに自己紹介をしてちょっと照れるように微笑み合う
早速友達ができて嬉しそうなティファニーにつられて、私まで幸せな気持ちになった


よかった
来るまでは少し緊張してたみたいだけど、ティファニー嬉しそう


ニコニコと二人を見つめていると、スヨンがいきなりクスクス笑いだし、
ティファニーを笑顔で見つめながら言った


スヨ「ふふふっ あなたの話はこれまで何度も聞いてたから初めて会った気がしないや」


パニ「え?」


スヨ「ソニ…あっ、いや、うちのお姉さまがね、
テヨン様がストーカーしてる子がいるって…」


テヨ「えっ?ちょ、ちょっ!スヨン、何言ってんのっ!?
ち、ちちち違うし!そそそそそんなんじゃないしっ!
ソニ、スヨンに何言ってんの!?」


スヨ「テヨン様のストーカー行為がいつの間にかこうして実になってたとはね〜」


テヨ「す、スヨナっ!何言ってるのかなっ?
お姉さま方、ち、ちちち違いますよ?私はティファニーのバイトしてるお店が大好きだから通ってて、それで友達になっただけでっ…!」


慌ててスヨンの話を遮り、
妙な空気になったその場の雰囲気を振り払うように大きく手を振りながら皆様の誤解を解く
だけど、スヨンは私を無視してティファニーと話を続けていた


スヨ「困ったらいつでも相談してね
お姉さまがいつでも警察呼ぶって言ってたから」


テヨ「ちょっ…警察って!
酷くない!?ソニ、スヨナちょっと酷くない!?!?」


振り返ってスヨンの姉であるソニに猛抗議するが、
彼女は私の言葉を聞き流しながら紅茶を優雅に飲んでいる
すると、いきなりユリが椅子から立ち上がり、ティファニーを指差しながら奇声を発した



ユリ「あ〜〜〜!!あの子か!!
テヨンが一目ぼれした子!!!!!」



うぉぉぉおおおお!
なんてことを大声で言いだすんだこいつは!!!


テヨ「ちょっ、ユリっ!?」


ユリ「そっかそっか〜!いつの間にかそんなに仲良くなってたんだね〜
世界一可愛いって言ってたもんね〜!」


テヨ「いや、ユリ、ちょっ…!」


ユリ「毎日お店に通った甲斐があったね、テヨン!」


親指を立ててグッジョブって顔でそんなことを言われたけれど、
この状況でそんな評価されても全然嬉しくないし寧ろやめてほしい


テヨ「ちょっ、ユリ、お願いだから黙っててくれますかっ?」


パニ「えっと…あ、あのっ…」


ティファニーが赤い顔をして戸惑っている
折角彼女と友達になって仲良くなったのに、このままではストーカー確定になってしまう
私はティファニーに向き直り、
「ち、違うよっ?違うからね?ストーカーとかそういうんじゃないからっ」
と慌てて弁解する
しかし、後ろから「こういうのって自覚なしが一番ヤバいんですってよ、お姉さま」
「じゃあもう手遅れね、自覚してないもの」
とスヨン・ソニの黄薔薇姉妹による容赦ないやり取りが聞こえてきた
そして、畳みかけるように白薔薇さままで悪ノリし始める


白「テヨンちゃん、一目ぼれした子を落とすなんてやるじゃない!」


テヨ「白薔薇さま、だからそういうんじゃ…っ」


白「も〜照れない照れない
一目ぼれした子を…なんて、まるで私とユリのことみたいじゃない
懐かしいわ〜!」


白薔薇さまはユリを見て懐かしそうに微笑む
ユリはその視線をちょっと照れながら受け取った後、さらに隣にいるジェシカを見て言った


ユリ「そう考えると私もジェシカに一目ぼれみたいなものかな?
綺麗な子が心細そうにしててさ、なんかほっとけなかったんだよね〜」


ジェシカは聞いていないふりをしてユリと目を合わせずこっちを向いたまま
だけど、彼女の耳は徐々に真っ赤に染まっていた

白薔薇ファミリーの惚気大会になりつつある空気に耐えられなくなったのか、
雰囲気を変えるようにジェシカは勢いよく立ち上がり、ティファニーのもとにやってきた


ジェ「チョン・ジェシカよ
私も1年生
よろしく」


パニ「ふふっ よろしく」


ティファニーは照れるジェシカを微笑ましそうに見つめて挨拶をする
私はそんな二人の姿に嬉しさとくすぐったさを感じて再び微笑んだ


テヨ「あ、ジェシカ、ティファニーは英語の方が得意なんだ
だから、韓国語でわからないことがあったときにジェシカがフォローしてくれたら嬉しいな」


ジェ「わかりました」


パニ「へへっ ありがとう」



すると、早速ジェシカが英語でティファニーにしゃべり始め、
二人の英語のマシンガントークが始まった


おおぅ
何を話してるのかわかんない…



目を白黒させながらお姉さまに視線を移すと、お姉さまは
「二人はお互いに自己紹介してるの
う〜ん…そうね、ティファニーさんのためにもこれから薔薇の館は英語を公用語にしましょうか?」
なんて笑いながらおっしゃった


テヨ「そ、それは…」


顔を引きつらせてお姉さまを見ると、
「ふふふっ 冗談よ」とお姉さまが楽しそうに笑う


スヨ「私は日本語だったらいけるんだけどな〜…」


あはは…
私は母国語しかできないですごめんなさい



お嬢様が多いリリアン女学園の中でも、薔薇ファミリーのお嬢様レベルは突出している

うちのお姉さまはあのカン財閥のご令嬢だし、白薔薇さまは国内最大手の航空会社のご令嬢、
ソニのおうちも由緒正しい名家だし、彼女の幼馴染のスヨンもそう

端的に言うと、情けないかな薔薇ファミリーの中で母国語以外を話せないのは私だけだったりするのだ


テヨ「本当にすみません、私だけ英語ができず…」


紅「あら、テヨンは世界に通じるものを持ってるじゃない
この中の誰よりもあなたは世界と繋がってるわ」


テヨ「えへへっ お姉さま…
ありがとうございます」


誇らしげに私を見て微笑むお姉さまの顔をみて嬉しくなった
お姉さまはいつも私に言ってくださるのだ
「テヨンの歌は世界の共通語よ」と





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