Book4 t3

□ソシみて Red or Pink 8
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しばらくするとお姉さまがおもむろに席から立ち上がり、私のもとに何か書類を持ってきた


紅「久し振りにテヨンの歌が聴きたいわ
ここにちょうど楽譜があるから、わたくしのために歌ってくれるかしら?」


テヨ「え?楽譜?」


紅「歌ってくれるわね?」


お姉さまは私の肩にグッと手を置き、
いきなりの無茶振りに戸惑う私に楽譜を握らせると、
奥の方からミニ電子ピアノを持ってきた


え?もう決定事項?
というかお姉さま、準備万端じゃないですか


白「何?何が始まるの?」


黄「リア、あなたこのためにさっき電子ピアノを用意していたの?」


紅「はいはい
外野は黙って聞いてらっしゃい」



お姉さまは薔薇さま方の茶々を軽く受け流し、伴奏を弾く準備を始める


紅「テヨン、それはデュエットなの
あなたのお相手を誰か指名なさい
私以外なら誰でもよくてよ」


テヨ「え?デュエット?」


お姉さまの言葉で手元の楽譜を見ると、確かにそれはデュエット曲だった
世界中でとっても有名な曲
これなら誰を指名しても皆歌えるだろう


相手か…
ソニも歌が上手いし、ユリも実は結構上手い
そして、ユリからジェシカが実は相当歌が上手いらしいことも聞いている

誰がいいんだろう
私は誰と歌えばいいのだろうか


自分から指名してなんて相手を決められず、
「誰か引き受けて〜」と目線で助けを求めながら皆に視線を配る
だけど、ソニはスヨンと話してるし、
ユリは完全に第三者な感じでワクワクした顔でガン見してくるし、
ジェシカはそっぽ向いてるしでどうすればいいのかわからなかった


紅「テヨン、あなたが一緒に歌いたい人を指名なさい」


なかなか相手を決められない私を見かねて、お姉さまがそう声をかけてくださった


一緒に歌いたい人?

私が一緒に…


お姉さまの言葉に導かれるように無意識に後ろを振り返ると、ティファニーと目が合った
彼女は目をちょっと大きくして驚いた顔をしている

私は手に持った楽譜のもう一枚をティファニーに差し出し、
「一緒に歌ってくれる…?」
そう尋ねた

彼女はちょっとだけ困った顔をした後、
「…わかった」と今度は微笑んで私から楽譜を受け取る
それからティファニーは譜面を見て、小さく呟いた


パニ「Beauty And The Beast...?」


テヨ「うん
英語だし、大丈夫?」


パニ「ええ、この曲なら知ってるわ
でも、本当に私でいいの…?」


テヨ「ティファニーと一緒に歌いたいの
一緒に歌おう」



ようやくパートナーを決めて皆の方を振り返ると、
途端に盛り上げるような拍手と白薔薇さまの指笛が聞こえた


紅「パート割は決めたの?」


テヨ「あ、そうでした
ティファニー、どっちがいい?」


パニ「どっちでも大丈夫だけど…」


紅「それなら、テヨンが男性パートでティファニーさんが女性パートでいかが?」


再びぐだぐだと決めるのに時間がかかりそうになるのを見計らって、
お姉さまがテキパキと私達に提案する


テヨ「わかりました
それでいい?」


パニ「うん」


紅「決まったわね
それでは、始めましょう」



お姉さまの合図で部屋が静まり返り、電子ピアノから流れるような演奏が始まる



♪♪♪

〜♪


パニ「Tale as old as time, True as it can be
(昔々の物語 本当にあったお話)
Barely even friends
(友達でもなかった二人)
Then somebody bends unexpectedly
(誰かが思いがけず二人の運命を変えました)」


ティファニーが歌い始めると、
彼女の感情豊かでのびやかな歌声に私を含めて皆が一気に引き込まれた


テヨ「Just a little change, small to say the least
(ほんの小さな変化 とても小さな変化でした)
Both a little scared, Neither one prepared
(二人とも少し臆病で 心の準備ができていませんでした)」


二人の歌声が重なるタイミングで視線を彼女に向けると、
目が合って思わず微笑んだ

「「Beauty and the Beast...
(美女も野獣も)」」



練習なんか一度もしていないのに綺麗に歌声が重なり、ハーモニーを奏でる
私達は目を合わせ、呼吸を合わせて歌の物語を紡いだ


「「Ever just the same, ever a surprise
(いつの時代も同じように いつの時代も思いがけなく)
Ever as before, ever just as sure
(これまでと同じように いつの時代も確かなこと)
As the sun will rise
(まるで太陽が昇るように)」」


心地よくフェイクを入れて間奏を楽しむと、
ティファニーも私に応えるようにフェイクを入れて間奏を盛り上げる


「「Ever just the same, ever a surprise
(いつの時代も同じように いつの時代も思いがけなく)
Ever as before, ever just as sure
(これまでと同じように いつの時代も確かなこと)
As the sun will rise
(まるで太陽が昇るように)

Tale as old as time, tune as old as song
(昔々の物語 古い歌のメロディーのように)
Bittersweet and strange
(ほろ苦くて不思議な気持ち)
Finding you can change
(変わっていく自分に気づいて)
Learning you were wrong
(間違っていた自分に気づいて)」」


こんなに綺麗に重なって溶けていくハーモニーを、私はこれまで一度も経験したことがない


気持ちいい
このままずっとティファニーと歌っていたい
歌うのが楽しい、嬉しい
幸せ



「「Certain as the sun, rising in the east
(東から昇る太陽のように確かに)
Tale as old as time, song as old as rhyme
(昔々の物語 古くから語り継がれた詩のように)
Beauty and the Beast
(美女と野獣)」」


パニ「Tale as old as time
(昔々の物語)」


テヨ「Song as old as rhyme
(古くから語り継がれた詩のように)」



「「Beauty and the beast
(美女と野獣)」」


〜♪

♪♪♪




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