Book4 t3

□Beauty and the Beast 3
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父がコンテストに出かけた次の日の朝
ティファニーは家の裏で鼻歌を歌いながら畑の野菜を収穫していた

小さい頃は畑仕事がそこまで好きではなかったが、今では大好きだ
つまらなさそうに畑仕事を手伝う幼いティファニーに父が教えてくれた


父「ティファニー、植物は歌が大好きだって知っているかな?」


パニ「えっ!お花が?」


父「お花だけじゃないよ
野菜も歌が大好きなんだ
これからティファニーが歌ってあげるといい
美味しく育ってくれるはずさ」


パニ「そうなの?
じゃあ私がまいにち歌ってあげる!」


父「あははっ それはいい!
きっと毎日美味しい野菜が食べられるに違いないな」


パニ「パパ、今から歌ったらおやさいおいしくなる?
わたし今から歌ってあげる!」


父「ああ、きっと美味しくなるよ
はははっ 今日のスープが楽しみだ」


あの日からお花や野菜に水をあげるとき、収穫するときには歌を口ずさむようになった
今では私の歌を聴いてくれる数少ない友達のような存在だ
今日も歌を口ずさみながら野菜を収穫し、美味しいスープを作る準備をする

しかし、いきなり家の表の方から朝の町に似つかわしくないけたたましい馬のひづめの音と興奮した鳴き声が聞こえてきた
作業を中断し、家の表にまわって様子を見に行くと、
父とコンテストに行ったはずの馬が泥だらけになって水飲み場で水を一生懸命飲んでいる
馬の後方には父を乗せていたはずの車体はなく、父の姿も見当たらない


パニ「どうしたの、そんな体になって!
パパは!?パパはどうしたの!?」


馬はティファニーの姿を見ると、
何かを伝えるようにその場でせわしなく前脚と後ろ脚を動かした
ティファニーは手綱を引いて興奮する馬をなんとか落ち着かせると、
体を撫でてもう一度尋ねる


パニ「何があったの?
パパの居場所を知ってるのね!?」


馬はティファニーの質問を理解したのか、小さく鳴き声を上げた
そして走り出したい気持ちを示すように地面を蹴るように前脚を何度か動かす
そんな馬の様子を見てティファニーは急いでフード付きのコートを取ってくると、馬に跨り手綱を握って体を蹴った


パニ「お願い、パパのところに連れて行って!」


馬はすぐにティファニーを背中に乗せて走り出す
モングを思うティファニーと心を一つにし、危機に陥った主人のもとへと彼女を連れて行った




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