Book4 t3

□Beauty and the Beast 6
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晩餐だ!と皆が一斉に喜び勇んで部屋を出て行く
嬉しそうにとび出していった皆を呆気にとられながらも笑って見送った後、
ティファニーは鼻から小さく息を漏らし、ふむと考え込んだ


これから毎日あの野獣と食事を共にするのよね
一応お礼を言った方がいいのかしら…?
まさかこんな風に歓迎されるとは思わなかった
皆の口ぶりからすると丁重におもてなしを受けることになるみたいだし、
なんでかはわからないけれどこれから毎日親切な待遇を受けることになるようだし

先ほどまで父と自分に受けた仕打ちを考えるととてもにこやかに話をできるとは思えないが、
一応形式上くらいはこの城の主人にお礼を言うくらいはした方がいいのかもしれない
憎い相手だが、そのくらいの礼儀はわきまえているつもりだ


憎しみと礼儀のせめぎ合いでざわつく胸の内を落ち着かせるように部屋の中をグルグルと歩き回る
大好きなピンク色で溢れる部屋の中を歩いていたら少しだけ心が落ち着いてきた
そして、改めて部屋の内装の洗練された華やかさにため息が漏れた

さっきはスヨン達にさら〜っと案内されただけで終わったが、
このお城にはこんな素敵な部屋が何部屋もあるのだろうな
おどろおどろしいお城の外観からはとても想像できない素敵なお部屋達が


…とそこでティファニーはあることに気が付いた


そう言えば、さっきスヨン達が一通り案内してくれた中に“ご主人様”のお部屋がなかったわ
もしかして…


ティファニーの意識は先ほど行く手を阻まれた西の塔へと向かう
頑なに出入りを禁じられた西の塔を少し覗いてみたいという好奇心が湧き上がった


ほとんど引きこもっているという野獣がいる西の塔はどんなところなのだろうか
もしかしたらものすごい秘密が隠されているのかもしれない
この魔法のお城の秘密とか…


ティファニーは自分の中に好奇心が次々湧いて出てくるのを止めることができなかった
そしてそれに導かれるようにして自分の部屋をこっそりと抜け出した





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