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□第16話 過去・記憶の返還
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『ここ、は……』
花音がいたのは真っ暗闇の世界。
精神世界…かな。
『ねぇ、雪晶色花…いるんでしょ?』
そう言うと、まるで呼ばれるのを待っていたかのようにすぐに雪晶色花が現れた。
『………』
ただし、雪晶色花は黙ったまま。
花音はとうとう我慢できずに口を開いた。
『110年前…いや、もっと前なのかはわからないけど…一体うちに何があったの?あと…うちは元死神、なんでしょう…?』
『………』
雪晶色花はしばらくは下を向いて、口も開こうとはしなかったが、やがて花音の視線に耐えられなくなり、覚悟を決めたようにゆっくりと口を開いた。
『もう、隠し通せません…。そうです、花音は死神でした…。それも、尸魂界で最強の。だから、その頃の記憶はなくなっても、本能で知っていたから九十番代の鬼道も、卍解も簡単にできたのでしょう』
『…ねぇ、ずっと気になってたんだけどさ………なんでうち、その頃の記憶がないの…?』
『…っ…それ、は……』
雪晶色花は唇をぐっと噛みしめる。
が、言うと決心したかのように恐る恐る口を開いた。
『花音は…藍染の計画にいち早く気づいて、藍染と戦った際に市丸に薬を飲まされ…暴走…してしまったのです…。』
暴走…?
『そのとき、浮竹様や卯ノ花様なども含めて全死神で花音を封印しました。そして、花音は異世界へ送り込まれ、その異世界というのが、この世界に来る前までいた世界なのです』
『つまり…うちはもともとこの…BLEACHのセカイの人間…?』
『はい…。そして、記憶がない理由は…私がそう施したからです』
『……え?』
『異世界へ送り込まれたとはいえ、ただでさえ花音の力は強いというのに、暴走したまま強引に封印されたのだから、きっと簡単に封印は解けてしまう…。そこで私が暴走を止めるにはどうしたら良いのか…必死に考えた結果、死神の頃の記憶をとってしまえばいい……という考えに至ったのです』
『それでうちは…死神の頃の記憶がなかったんだ……』
『はい…。そして副作用か何なのか、私にも原因はよくわかっていないのですが、花音の身体は縮み、赤ん坊になっておりました』
うちが道路に捨てられてたっていうのは…そういうことだったんだ……。
『…私は今から、花音に記憶をお返しします。死神になる前…流魂街にいた頃のも、死神になってからのも……全てを』
雪晶色花が花音の目に手をかざした途端、花音はまるで暗闇に移動するかのように、意識を失っていった。