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□第11話 彼女の謎
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日番谷side


「……うっ……」


目を開けて最初に目に入ったものは、天井だった。



ここは……四番隊か。


「お目覚めになりましたか。日番谷隊長」


卯ノ花は日番谷の寝ているベッドの近くの椅子に、深く腰掛けた。


「俺……は…」


「何者かにやられたようですよ。覚えてらっしゃいますか?」


何者か…?


「そうだっ!!藍染…!!」


日番谷は起き上がろうとしたが、体中から痛みが走り、動きが止まってしまった。


「……まだ安静にしてくださいね」


殺気のある目でそう言う卯ノ花。


「……ところで、なぜ藍染隊長の名前が?」


「俺は、さっき…!!………あれ?」




松本と一緒に花音からたのまれた旅禍を見に行って…



市丸と接触して……



四十六室に向かおうとして……


















あれ?なんだっけ……?


















いきなり俺が…血を噴いた…



















そうだ。俺は四十六室に行こうとしたが、急に俺の身体から血が溢れ出たんだ。













だが………







「…松本副隊長と同じ、ですね…」


卯ノ花は困った顔をした。


「松本?松本にも何かあったのか!?」


「いえ。松本副隊長は無事ですよ」


「……そうか、よかった」


日番谷はホッと胸を撫で下ろした。


「…お二人に一体何が起こったのかも気になりますが…日番谷隊長に一つお聞きしたいことが……」


「…なんだ?」


「…静川花音三席についてです」


「!!」


花音…!?


「日番谷隊長は…まだ死神じゃなかったかもしれませんので、記憶にないかもしれませんが…。昔、静川花音という死神がいたのです。もしかしたらって…」


静川花音……











『君、冬獅郎っていうの?』











!?


なんだ今のは……


あの女の子……花音にそっくりだった…?






「……名前は聞いたことあったが…わからねぇ」


「そうですか…。では、日番谷隊長は、その人が関わっている……最後の事件をご存知でしょうか?」


「……事件?」


「ええ。…尸魂界に悲劇が起こった頃です。みんなが、虚になってしまった事件……」


「……わからねぇ」


「そうですか…」





日番谷隊長も分からないということは…やはり私の思い違いなのでしょうか…。


卯ノ花が悩んでいると、


「花音のことはよくしらねぇし、本人もどこからこの世界に来たのかわからないって言っている。だが…」


「だが…?」


「…霊圧が異常に高いんだ。それに、知識は確かにあいつの言っていた通り、完全に覚え込んでいる。だが、知識と実習は違う。いくら知識豊富でも、経験を積まなければ簡単には技はできない。なのに、花音は一発で全てできている。…おかしいと思わないか?」


「………」


「それに、俺は………花音が懐かしく思えるんだ」


「!!!」


「…おかしいよな。異世界から来た奴に、懐かしいなんて感じるなんて」


「いえ……おかしく、あり…ません……。日番谷隊長…ありがとうございました…」


「…いや、俺も治療を。礼を言う」


「いえ、お大事にしてくださいね」


「あぁ」


そう言って卯ノ花は日番谷の部屋から出て行った。












日番谷隊長は"懐かしい"と…。





静川花音…






あの子は…あの人の生まれ変わりなのでしょうか…。




治療のとき入力した花音のデータは…"昔の花音"と丸っきり同じだった…




「似ています……どうして…」


卯ノ花は弱々しく、ぽつりと呟いた。
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