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□第14話 動く藍染
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五番隊・第1特別拘禁牢
雛森はここに入れられていた。
…あたし、なんてことしたんだろ…。
吉良くんに刃向けて…花音ちゃんに悲しい顔させて…。
雛森は体操座りになってうつむいていた。
キイイイイ…
扉の空いた音がしたため、顔だけを動かし、外から入ってきた相手を見てみると…
「…乱菊さん……」
十番隊副隊長、松本乱菊だった。
「………」
雛森…そりゃ、辛いわよね…。
泣き疲れたせいか、目の周りが赤く腫れている。
「どうし……」
乱菊は牢屋にいる雛森に手紙を差し出した。
「藍染隊長の部屋にあった、あんた宛の手紙だよ」
「………藍染隊長が?あたしに…」
「何が書いてあるのか知らないけど、自分の隊長が最後に遺した相手が自分だったってのは、副隊長として幸せなことだよ。…大事に読みな」
「…ありがとう…乱菊さん」
雛森はさっそく手紙のリボンをほどき、手紙を読み始めた。
『雛森君、君がこの手紙を読んでいるのなら、僕はきっと変えることができなかったのだろうね。君には色々と心配をかけたね。そのことはどんなに労いの言葉を重ねても、足りることはないと思っているよ。今まで、僕は君に僕の感じる不安について語ったことはなかった。だけどそれは、君を巻き込みたくなかったからだということをわかってほしい。そして、どうか許してほしい…。ここまできて、君を巻き込んでしまう僕のことを。僕は恐らくすでに生きてはいないだろう…。だから、僕の最も信頼する君のために、僕の暴いた真実の全てをここに記すー……』
「…これ…は………」
その先を読んだ雛森の表情は、一瞬で凍りついていったーー……。
東大聖壁(日番谷&花音)
「おい…花音?しっかりしろ!」
花音はショックのせいか、意識を失っていた。
それにしても、藍染の死体…。
ついに計画が始まりやがったのか…。
「…クソッ!」
日番谷は花音を抱きかかえて十番隊へ行こうとしたが、誰かに肩を掴まれた。
「誰だ!?」
反射的にすぐ後ろに退く日番谷。
「…お待ちになってください」
そこには、白くて長い髪に、吸い込まれそうなほど綺麗な水色の瞳、純白で透き通っている真っ白な衣服に身を包んでいる女が立っていた。
「誰だ…てめぇ……」
見たことのない女に、日番谷は警戒心を強める。
「…私は、花音の斬魄刀の……雪晶色花です」
「な…んだと…?」
「…私が花音を十番隊へ連れて行きます。ですので、日番谷様は中央四十六室のところへ行ってください」
そう言って雪晶色花は、日番谷が抱えている気絶した花音に触れようとする。
が、日番谷がそれをさせなかった。
「…待て!」
「….なんでしょう?」
「花音に意識がないのに、何故お前は具現化できる!?」
日番谷は低い、うなるような声でそう尋ねた。
「それは…話すと長くなります。が、これだけは言えます。花音は…とても強いです。何故なら…花音は元々死神で、六番隊副隊長だった。そして何より、零番隊隊長という最強の座に立っていたのだから」
「…零番隊?聞いたことねぇぞ…」
「…そりゃそうでしょう。あなたたち隊長の中でも、零番隊の存在を知る者はそうそういませんから」
目を見開いて驚く日番谷。
その隙に雪晶色花は日番谷から花音を奪い、抱きかかえた。
「あっ…!」
「…花音から手紙を託されているのでしょう?きっと、藍染はすでに四十六室で崩玉を取り出す技術を探してるはず…。行ってください」
そう言って雪晶色花は花音を抱えたまま、姿を消した。
中央四十六室…
花音が元死神……
分かんねえことだらけだ…!
日番谷は軽く舌打ちしながら、急いで四十六室へと向かった。