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□第16話 過去・記憶の返還
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「…久しぶりだな?お嬢ちゃん」

そう言って現れたのは、2年前に花音が初めて盗んだ店の店主だった。


要するに、花音は6歳になっていた。


店主の手には、キラリと光らせているナイフが握られている。

暴力じゃなくて、殺すつもりで来たのだろう。


「前はよくもたくさん盗んでくれやがったなぁ?おかげで貧乏生活に早変わり!お前…責任取れよ」


怖い……!


身の危険を感じた花音は、とっさに店主から走って逃げる。


「待て!!」


店主は大人。

花音は6歳。


いくらなんでも年の差がありさぎたせいか、花音は簡単に捕まってしまった。


店主は花音を組み敷いて、ナイフを上に持ち上げ、花音に向かって振り下ろした。


「…や……だ…っ……!!」


花音は必死に抵抗する。


が、店主は容赦なく花音をひたすら刺し続けた。


ブスッ!

グサッ!


10箇所位刺され、全身は真っ赤に染まり、周りを血の海に変えて花音は動かなくなった。


店主はその様子を見て満足したように微笑み、その場を去ろうとしたが…






死にたくない……!





「な、……に……して……く、…れる…の……っ……!?」


「!?」


驚き固まっている店主を咄嗟に押し倒し、逃げられる前にナイフを奪って素早く店主の身体に刺した。


グサッ!
グサッ!
グサッ!


「…ぐああああああ!!」


店主の悲鳴すら聞こえないかのように、花音は我を忘れてずっとその動作を繰り返した。


店主の命が絶え後も…。






ようやく我に返ったときには、店主は人間だったことがわからないほどに切り刻まれ、周りは花音と店主の血がまざり合い、赤い森と化していた。


「あ……ああ……」


花音はその姿を見て震え上がる。


なんて…なんてことしちゃったんだろう…



「うあああああああ!!」


花音は悲鳴に近いような声で叫んだ。


そのとき、



カサッ……



草の茂みから誰かが近づいてくる音がした。
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