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□第18話 過去・零番隊
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『あぁ?今なんつったクソガキ!』


『…謝れって言ったんだよ!』


その瞬間、大人の男がその男の子に殴りかかったが、その男の子はそれを見事に避けた。


『なっ……!』


男は勢い余ってバランスを崩し、その場に倒れこむ。


『…てめぇ!』


男はまた立ち上がりパンチをするが、その男の子はこれもまた上手にかわしていく。


…すごい。

それは死神である花音から見ても、完璧な避け方だった。


一対一では勝てない、そう判断したのか大人たちは、全員でその男の子を囲むようにして近寄って行く。


『調子乗ってんじゃねぇよ!』


『………………こんな奴なんかに……』


男の子が舌打ちをして構えたとき…


「やめてっ!!!」


花音は瞬歩でその男たちのところへ行き、咄嗟に素手で男の攻撃を塞いだ。


…といっても男は周りを囲んでいたわけで、後ろからの攻撃は防げなくて…。


「………っ!」


予想以上の痛さに顔が歪む。


「…てめっ…邪魔してんじゃねぇよ!」


男の拳が花音の顔の前に出される。


「……遅い」


花音は男の子を抱え、瞬歩で男の囲いから抜け出した。


「……っはぁ…だい、じょうぶ?」


「………」


男の子は完全無視。


えっ!?なんで!?う、うち助けたよね!?あれ??


「こいつ…死神じゃね?」


一人の男が花音の死覇装姿を見て目を細めた。


「マジかよ…あんなガキが死神!?」


「やべぇぞ!逃げようぜ」


男共は花音から逃げるようにして離れていき、どこかへ去って行った。


「だ、大丈夫?今治すからね」


「げぼっ……!がっ…」


呼吸がうまくいかないのか、虚ろな瞳で自分を見る女の子。


花音はすぐさま鬼道で女の子の傷を治していった。


あとは…たしか…


もう一人の男の子もひどい怪我をしていた。

それも女の子よりも酷い。


急いで鬼道で治療し、無事に成功することができた。


だけど……


おかしい…。この子たち、おかしい。普通なら…鬼道で治してもここまで完璧になんて治らない…。


どうして………。



「おい、お前は何者だ?」


ハッとして声のした方を見ると、そこには先ほど大人の攻撃をかわしていた男の子が花音の目の前にいた。
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