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□第25話
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十番隊隊舎


乱菊は一人、隊舎の壁に寄りかかっていた。







『……もうちょっと捕まっとっても良かったのに………ごめんな』







ギン…

あんたのそういうところが嫌いなのよ…。





「…バカみたい」


「誰がだ?」


「うおおう!!」


突然の声に驚く乱菊。

バッと振り返ると、そこには腕を組んだ日番谷が立っていた。


「びっくりしたぁ〜〜。危うくおっぱいこぼれるとこだったじゃないですか」


「どういうびっくりの仕方だ?」


日番谷は眉間にしわを寄せて、眉をピクピクとさせる。


「……お前に客だ、松本」


そう言って日番谷が指差した方には…


吉良が立っていた。


だけど、日番谷たちを市丸の命令で足止めしていたことに罪悪感を感じているのか、あまり良い雰囲気ではない。


「あの…松本さん…」


そんな様子の吉良に、乱菊はふふっと微笑んだ。


「…食べてく?蕎麦饅頭」













そう言ってその後……ーーーーーー




「ギンがなんぼのもんじゃーい!!」


蕎麦饅頭だけでなく、最終的に酒まで飲み始め、二人は興奮気味。


「変な目ぇしやがって!」


「そうだそうだぁ!」


「あんなやつ知るかぁ!」


完全にヤケクソになっている。


「あり?隊長、どこ行くんすか?」


「……便所だ」


………これは、花音と雛森のところね…。


乱菊は直感でそう思った。










花音side

「はぁ〜…やっぱり瞬歩使わないでとなると遠い…」


瞬歩を使っても良いと卯ノ花には言われてはいるが、身体が睡眠薬のせいなのか寝すぎてなのか、だるすぎて使う気が出ない。


そのため、まだ十番隊隊舎に着いていなかった。





「あ……」


「…?」


ふと、聞きなれた声が聞こえた。


声の主は……


「……冬獅郎…いえ、日番谷隊長……」




日番谷side


……やっぱり、まだ怒ってるか…。


「なぁ…静川…」


「…なんですか?」


花音からの返答はいつものタメ語ではなく敬語。


「……すまねぇ…あのときは…注意してたのに…」


「………」


日番谷は頭を下げたが、花音は完全無視。


「……そうですね。あのとき隊長は完全催眠の下だったのですから、仕方ありませんね」


花音は冷たくそう言い放った。


「本当にすまねぇ……」


「……別にいいですよ、特に気にしてませんから。それより…早く雛森副隊長の所へ行ったらどうです?」


ふんっと日番谷から目をそらして、花音は瞬歩で去っていった。











花音side


「何…言ってんだろ、うち…」


別に…あのときのことは本当に気にしていない。


そりゃ…冬獅郎に刃物を向けられたときはすっごく傷ついた。


けど…あんなことを言ったのは…


「ごめん……冬獅郎……」


単なるうちの"嫉妬"だ…。


わかってるよ…。

あのときなぜ冬獅郎があそこにいたか。


そんなの、四番隊で診てもらっている桃のお見舞いに行くために決まってる…。


昔も今も、うちのこと見捨てないって言ってくれた…


そんな優しい冬獅郎が好き。



だけど……わかってるよ。



昔も…きっと今も…

所詮うちは…






冬獅郎の中じゃ"2番目"だってこと……。



「二人…見てるの辛いなぁ」


花音からは自然と涙がこぼれ落ちた。


ルキア救出に必死で…そんなによく考えてなかったけど、

うちって護廷十三隊のみんなに…封印されたんだよね…。


そりゃ、あのとき油断して市丸に薬入れられて暴走しちゃったうちが悪いんだけど…



なんか…………悲しい…。




しかも、うちは冬獅郎と知り合いだったのに…どうして冬獅郎は覚えていたような発言とか素振りをしてないの?
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