”違う”…知ってるそんなこと。
□第 7 話 風邪
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「えっ、熱!?」
チョロ松お兄ちゃんがすぐさま反応する。
や、やばい…。
「ほら、チョロ松兄さん!帆乃香のおでここんなに熱いよ!!」
「そ、そこまで熱くないよ!」
「帆乃香。とりあえず俺の見てる前で熱測りなさい」
「……はい」
有無を言わせぬような目つきで、いつ用意したのかわからない体温計を目の前に差し出され、受け取らざるをえなかった。
「そういえば帆乃香、昨日一松とどこに行ってたの?」
「えっと…猫の餌買いに行ってたよ。あと、猫もついでに見てきた」
「ふぅーん。やっぱりペットショップの猫って可愛いよね」
「え。違うよ」
「ん?どうゆうこと?」
「あの有名な不良の溜まり場の路地あるじゃん?あそこに行っ…
「あそこに行ったの!?」
「え…うん」
いきなりチョロ松お兄ちゃんが大きな声を出すから、思わず反射的に体がチョロ松お兄ちゃんから遠のいてしまった。
「帆乃香…」
「な、なに…」
チョロ松お兄ちゃんは暗い顔で遠のいた私に寄ってくる。
え、なにマジで。
「次からは絶対あそこには行くなよ。もし行ったら家から出させないからね?」
「なんで?」
「なんでって…危ないからに決まってるだろ!あそこ本当にタチ悪い奴らばっかりだから。そう言う奴は一度でも自分のことを見たことがある奴のこと叩き潰してくるの。負けたら恨みで必ず喧嘩ふっかけられるし」
…マジで?
「ごめん…じゃあ恨まれてるかも…」
「は?」
「一松お兄ちゃんが8人倒してたんだけど、まだ3人残ってて一松お兄ちゃんが捕まっちゃって…。だから私、おそ松お兄ちゃんに連絡しようかと思ったけど、一松お兄ちゃんが殴られそうになったから思わず…」
「まさか飛び出したの?」
「……はい」
「アホか!!!バカか!!!」
「だって!!縛られてて抵抗ができない一松お兄ちゃんをおそ松お兄ちゃんが来るまで待ってたら一松お兄ちゃんきっと死んじゃうよ!!」
死ななくても重症は絶対負ってたよ金属バットなんだから。
「はぁ……。もうやってしまったことだからしょうがないけど、何かあったらすぐ俺らに連絡して。勝手に行動しない!」
「…はい」
「帆乃香は殴られなかった!?大丈夫だった!?」
十四松お兄ちゃんが心配そうにしてオロオロと聞いてきた。
「うん、殴られてはいないよ?吹っ飛ばされて膝から血は出たけど」
「怪我したの!?」
「あ、大丈夫!そんな痛くないし!」
ほら!と言って、チョロ松お兄ちゃんと十四松お兄ちゃんに膝の傷を見せる。
「……帆乃香痛そう…。チョロ松兄さん、俺そいつらのこと殴ってきていい?」
「十四松、気持ちはわかるけど落ち着いて。今殴ってもあいつらに因縁つけられたらまた帆乃香が危なくなるから、我慢ね?」
「…わかった」
「いや…ほんとに痛くないから大丈夫なのに」
ピピッ
あ、体温測ってたの忘れてた。
体温計をとって結果を見てみると……
「38.8度…!?」
「はぁ!?」
「えっ!?」
…こっちは大丈夫じゃないかもしれない。