友人帳と恋人帳
□第1話
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私には、変なものが見える。
「あ……」
それは、妖怪という類のもの。
中学生の頃、近くにいた常人には見えないものに聞いたらそう言われた。
それと…祖母が残した資料からも、
それらを妖怪と記していた。
「なんでカッパ……」
「ミズを……ミズを〜〜……」
「水?」
何処かに水がないか辺りを見回すと、すぐそばに自販機があった。
「カッパごときに水買うとかありえないけど…困ってるみたいだしなぁ。仕方ない…ここは買うか」
私は一番安い100円の水を購入し、カッパの頭にかけてあげた。
「……あぁ………ありがとうございます〜夏目様……おや??夏目様ではございませんね!これこれは失礼いたしました!貴方様は?」
「私?名前は教えられない…。でも、その夏目くん….とやらの家に今日から泊まるの」
「夏目様のお宅に!?これはこれは…夏目様もやりますね…」
「んじゃ、そういうことだから。また乾く前に日陰に行きなよ〜」
そう言って私は再び足を動かした。
そう、私は今日から夏目くんが住まわせてもらっている、"藤原家"に住むことになっているのだ。
なぜなら……
「……夏目くんも見えるんだよね?友人帳の夏目貴志くん……」
私は少し微笑んでポツリとつぶやいた。