I want teach… ”love”
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どうやら快斗のあの消えたマジックは、天井に引っ付いて消えたように見せかけるようなトリックだったらしく…
快斗は天井に張り付いている。
しかし、張り付いてしまった場所が私たちがいる場所の真上であり、降りられなくなった快斗が限界に近づいているのか、息をはぁはぁさせていて、その音に私が気づいて違和感を感じ、上を見たら…ってところである。
「….ほら、私たちの上にいるじゃん?」
「え?……あ!快斗!!」
快斗、おつかれ…。
快斗はというと、手足をプルプルさせ、顔は真っ赤になるまでになっていた。
「……っ!気づいたんならそっからどけてくれ!」
「「あっ、ごめん」」
青子と私はすぐさまその場所から離れる。
その瞬間、快斗は天井から手を離し、ドスンと凄い勢いで落下した。
「…ってぇー!!」
「ちょっ…快斗、大丈夫?」
「くそっ…マジシャンとしてあるまじきミス…。瑠奈オメー!俺が天井から降りれないの気づいてただろ!!」
「え?なんのこと?」
「あのなぁ〜…俺が天井に張り付いてる時目合ったじゃねぇか!」
「え?そうだったの!?」
「うん。大変そうだなーとか思って見てたよ」
「"うん"じゃねーし見てんなよ!!助けろよ!どいてくれるだけでもいいってのに!!」
「そんなことしたら青子にマジック失敗したところ見られちゃって可哀想かなって思ったのー。だって快斗は………」
私は未だに肩で息をしている快斗に近寄り、耳元で囁いた。
「快斗は、青子のことが好きだもんね?」
ニヤリとしながら言う私。
快斗はというと、ボンッという効果音が合いそうなほど、すぐに顔が真っ赤に染まっていった。
「な、な、ななな…!」
「動揺しすぎ!」
「二人とも何の話!?青子にも教えてよー!」
「ダーメ。青子には秘密」
「えーー…。快斗ばっかずるい!!」
駄々をこねる青子と、真っ赤になってうろたえている快斗を放置し、私は自分の席へ戻り、午後の授業の準備を始めた。