I want teach… ”love”

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あれから急いで家を出て、トロピカルランドにジンとウォッカと3人でいる現在。

最初、私の変装に私だと二人は気づかなかったみたいで…。
二人のコードネームを口にした途端、殺されそうな雰囲気が半端なかった。

声を変えていたのを地声に戻すと二人は気づいてくれて…本当に良かったと思う。
気付いてなかったら…あのジンの様子は本当に私を殺していた。

「………で」

「あ?」

「なんでジェットコースターに乗る必要があるわけ?」

そう。私たちは何故か、ジェットコースター乗り場に並んでいる。
ジンの命令で。

「トロピカルランドで少しは遊んでないと怪しまれるだろ…」

「……」

思わずぽかんとしてしまった。

怪しまれる?
いやいやいや。もうすでに怪しいって。
なんで遊園地に全身黒づくめの服を着て遊びに来てるのってなるでしょ。
私も人のこと言えないけど…。

「まぁ…どうせなら楽しみたいよね」

この後、殺人事件が起こるんだろうけど。

「おっ。順番きましたぜ!アニキ!」

いつの間にか私たちがコースターに乗れる位置まで列は進んでいた。

ところが、

『それでな…その時ホームズは…』
「どけ!俺たちが先だ!」
「うわっ!?ちょ…!」

突然、ウォッカが私とジンの腕を引っ張って前へ進み、側にいた人を押し退いてコースターへ乗り込む。

そんな早く行かなくても順番は来るのに!

てか、今のって…
新一と毛利蘭…だよね?

当たり前か。元々このコースターに乗ってるはずなんだし。

….にしても、本当に新一ってホームズの話すると止まらないんだなぁ。

新一たちは私たちの前の前に座っているから、声が聞こえてしまう。

『わかるか?コナン・ドイルはきっと、こう言いたかったんだ…。ホームズってやつはな…』

『もー!ホームズだのコナン・ドイルだの、いい加減にしてよ!!この推理オタク!!!』

可哀想に…。
私もコナン・ドイルの本は好きだけど…というか推理小説が好きだけど、新一みたいなずっとコナン・ドイルだけのマシンガントークはさすがにしない。

『私は新一と来るの、ずーっと楽しみにしてたのにさ!!どうして、私の気持ちに気付いてくれないの?』

…………聞きたく、ない。

私は無意識に耳を塞いでいた。

その様子をジンが不思議そうにジッと見つめいるのに気がついたけど、今の私にはそんな余裕はなかった。

耳を塞いでいても、新一と毛利蘭の楽しそうな笑い声と…新一の照れ隠しのような声が聞こえる。

あぁやだな…。
一瞬の時を楽しむつもりが楽しめなくなっちゃった…。

重い気持ちのままジェットコースターはスタートし、坂を上へ上へと登っていく。

そして………


ゴオオオオオオオ!

物凄い勢いで、コースターは一気に下っていった。

「きゃあああああ!」
「いやぁああああ!」

周りの人たちの悲鳴….否、楽しい意味での叫び声が前後から聞こえる。

…結構、このコースタースピードあるなー。

そう思った時、問題の場所に…。
トンネルの中にコースターは入っていった。

案の定、私の耳に入ってきたのは…新一と蘭の声。

『うげっ!!!』
『きゃー!!何よ、このあったかいの!?』

それから、他のお客さんの声も。

『わっ!!』
『暗くて何も見えなーい!』
『なんだ!?』
『どうした!?』

コースターがトンネルを抜けたと同時に私たちの視界に入ったのは…………

頭がなく、首があった場所から真っ赤な血が噴水のように物凄い勢いで溢れているものだった…。
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