I want teach… ”love”
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「私は……このセカイの人じゃないの」
「………は?」
予想通り、快斗はキョトンとして間抜けな声を出した。
けど、馬鹿にはしなくて…ちゃんと私の次の言葉を待っていてくれている。
私はひとつ、深呼吸をしてから話し始めた。
「………私は、ある目的を達成するために…このセカイへ飛ばされたらしいの」
「………ある目的?」
「そう、私もわからない。自分で見つけて達成しろって言われた」
「誰にだ?」
「神様」
「…………」
沈黙に包まれる。
いきなり神様に言われて飛ばされたとか、こんなの小説でしかありえないでしょ。
さすがに信じられない…よね。
そう思っていたら、
「……で、その神様とやらに言われてやってきたのはわかった」
溜息を吐いてから、快斗はそんな言葉を私にかけてきた。
「………信じてくれるの?こんな話」
「……信じるしかねーだろ。戸籍も過去も、瑠奈のことに関しては"存在しない"んだから…」
確かに…。
「で、その目的を達成したら…オメーはどうなるんだよ?」
「そ、れは………」
私に待つもの、それは………
「死……だ、よ」
「え……」
「……私、本当はこのセカイで死んでるの。明美さんの身代わりになって死んでたの。だけど…目的を達成するために生き返らせてもらった……だから…目的を達成して、元のセカイに戻った瞬間…私の身体は動かなくなるって……」
「……うそ、だろ……?」
「嘘じゃないよ」
私だって、信じたくないよ。
戻って死ぬのなら、一生戻らなくていい……。
「オメーは……元のセカイに戻りたいのか?」
「………死にたくないから、戻りたくない」
「……けど、目的ってのは大事なんだろ?」
「………多分、ね」
あの神様は、本気で私のことを心配していた。
きっと、目的を絶対に達成してほしいのだろう。
…私を生き返らせてまでしたんだから。
「だから……死ぬのは嫌だけど……目的は達成したい……。けど……達成、したら………」
声が、震える。
叶えたいのに、叶えたくない。
矛盾してる私の気持ち。
快斗…………私は、どうしたらいいの………。
「……俺が思うに…達成云々は、瑠奈の気持ちが落ち着いてからでも大丈夫。要するに、ゆっくりでいいと思うぜ」
「ゆっくり…?」
「…オメーが本気で"達成したい"って思うまでは、こっちのセカイを楽しめってこと!」
「このセカイを…楽しむ?」
「おう!どーせ来たなら、たのしくやりてーじゃん!俺だったらそうするぜ」
ニカッと笑う快斗。
…なんだか、少し気持ちが楽になった。
「…ありがと。少し…楽になった」
「おう!俺はいつでも瑠奈ちゃんの味方だからなっ!」
「…キモい、離れて」
「えっ…!?今のは俺に抱きつくだろ、フツー!」
「んなわけ。ありえないね!」
……新一だったら…抱きついてたかもだけど。