Promise
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僕には2つ下の妹がいた。
けど、それはもうずっと昔の話。
昔の妹の話をするというのに、"僕"という一人称は自分には合わないなと感じるから、僕ではなく"俺"で話をさせていただく。
俺、降谷零には2つ下の妹がいた。
妹の名前は、降谷瑠奈。運動もできて頭もいい、優秀な女の子だった。
両親は俺たちのことはほったらかしで、俺は実質妹とだけ暮らしていて。
瑠奈は俺がいなければ生きられないような環境にあった。小さい頃の話だけれども。
瑠奈が中学の時は、部活は空手部をやっていて、俺と喧嘩しても殴り合いが通じるような、そんな妹。
だけど、瑠奈が14歳、俺が16歳の時に、瑠奈は突然姿を消した。
当時中学2年生だったこともあり、家から出て行くということは考えられなかった。
考えられるのは、拉致。
それしかなかった。
両親は俺や瑠奈に関心なんてないから、最初は警察に捜索願を出さなかった。
けど、周りから「瑠奈ちゃん最近見かけませんね?」と聞かれたり、瑠奈の学校からも連絡が来て、怪しまれた両親は捜索願をやっと出した。
この時点で、瑠奈が拉致されてから2週間が経過していた。
…だから、きっともう瑠奈は生きていないだろう。
瑠奈の失踪で、俺は警察官になることを考えた。
そして、警察学校へ入学した。
警察学校では優秀な成績を維持した結果、卒業時に公安警察へと就職が決まった。
今は、ある組織を追い詰めるため、スパイとして"バーボン"と名乗り、組織に潜り込んでいる。
だから、まさか、あんな形で瑠奈に会うとは思っていなかった。