”違う”…知ってるそんなこと。
□第 4 話 兄妹弟喧嘩
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私、知らなかった。
おそ松お兄ちゃんが私のこと…妹として見れないって思ってること。
だっておそ松お兄ちゃんは、いつだって優しかった。
こないだのブラック工場の一件も、私が本当は怖くて、実は強がってただけだって気づいてくれて。
一緒に寝てくれたのに……。
「ふっ…うっ……」
おそ松お兄ちゃん……。
私、本当はお兄ちゃんたちと血繋がってないんじゃないの…?
だから、妹として見れないの…?
私が中2の時にお兄ちゃんたちが離れていったのも…血が繋がってないことが原因なの…?
私とお兄ちゃんたちは…
性格と容姿だけじゃなくて…
全てが "違う"の………?
「やだよ………こんなの知りたくなかった………」
お兄ちゃんたちと血が繋がってないなんて
知りたくなかった………。
<翌朝>
あ………
昨日私、そのまま眠っちゃったんだ………。
「……お兄ちゃんたち、起こさなきゃ」
事実を知らないふりしておかないと。
…おそ松お兄ちゃん以外は私が本当のことを知ってるって知らないんだから。
私は高校の制服に着替え、兄たちの部屋に向かった。
----六つ子部屋---
「お兄ちゃんたち、起きて!!朝だよ!!」
「……えーー……もうそんな時間〜?」
「そんな時間!チョロ松お兄ちゃん声出せるなら目は覚めてるでしょ!?」
「おはよーございマッスルマッスル!ハッスルハッスル!」
「十四松お兄ちゃん元気なのはいいけどうるさい!早く下に行ってご飯食べなさい!」
「今日の夕日は…まるでみかんのようだな…綺麗だ」
「夕日じゃなくて朝日だし!てか、みかんってアホなの!?ほんっとにカラ松お兄ちゃん朝からいつもとは別の意味でイタイ!」
「まだ眠ってたいよぉ〜」
「トド松お兄ちゃん可愛く言ってもダメ!意識あるんだから起きなさい!」
「ちぇーーっ。やっぱダメかぁ」
「当たり前!」
「にゃぁ〜………」
「一松お兄ちゃんいきなりどうした!?……ってきゃあ!」
「にゃあにゃあにゃぉ〜ん」
「ちょっ…!抱きつかないでよバカっ!」
バキッ!
思わず一松お兄ちゃんを殴ってしまった。
「あっ…ごめん!一松お兄ちゃん!」
「………ん?朝…?」
「そ、そう朝!早くご飯食べに行こう??」
「……うん」
眠そうなままフラフラ立ち去る一松お兄ちゃん。
よ、よかったー……。
殴られたこと覚えてないみたい…。
あと残るは……
「おそ松お兄ちゃん……」
他の5人の兄たちはもうすでに下の階に移動している。
つまり、この部屋にいるのはおそ松お兄ちゃんと私だけ。
「お…おそ松…お兄ちゃん…」
思わず、声が震える。
昨日聞いちゃったことが、私の脳内で繰り返される。
いやだ。
「………おそ松お兄ちゃん、起きてよ……」
出るのはか細い声。
おそ松お兄ちゃんに触れるのが怖い。
揺さぶれない。起こせない。
だって…
妹じゃない赤の他人なんかに起こされたら、気持ち悪いよね…?
「ごめん…おそ松お兄ちゃん…」
私はおそ松お兄ちゃんを起こさずに、ついにこの部屋から立ち去って5人の兄たちがいるリビングへと向かった。