”違う”…知ってるそんなこと。
□第 5 話 松野家扶養選抜面接
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「ただいまーー」
って、え………。
「なにこれどういう状況…?」
今日は年に四回の先生たちの会議だったから、高校は午前授業で終わりだったんだけど…
「えーでは只今より、松野家扶養家族選抜面接を始めます。この面接に合格した人は、晴れて母さんの扶養に入れます。みなさん、存分にいい息子アピールしてください。よろしくお願いします!」
「「「「「よろしくお願いします!」」」」」
ママがわけわからないことを言って、それに対してお兄ちゃんたちがスーツを着て、パイプ椅子にすわって、チョロ松お兄ちゃん以外のお兄ちゃんたちがママに向かってお辞儀してる。
ママの座っている前の長机には"人事"って紙に書いてあるし、ママの後ろの横にはホワイトボードがあって。
ホワイトボードには扶養、保留、別居っていうマグネットと、下の方に兄たちの名前のマグネットがはってある。
待って、ほんとなに??
「あら帆乃香おかえり。丁度いいわ、帆乃香もこっちに来て審査してちょうだい」
「え?審査って…なんの審査…
「松野家扶養家族選抜面接のよ!」
いやだからそれがなんだって私は聞いてるんですが!!
「帆乃香、落ち着いて聞いてくれ実はな…」
「なに?おそ松お兄ちゃん」
「母さんたちが、離婚しそうなんだ」
「…………は?」
離、婚…?
「えっ……ほんとなの?ママ…」
「ええ…。ごめんなさいね、帆乃香。母さんと父さんは相性が悪いのよ…」
「ママ………」
「もちろん、帆乃香はまだ高校生だし、ちゃんと母さんが成人するまで面倒みるわ。けど、ニートたちは違う。だからこうして扶養するメンバーを面接で選ぼうと思ったのよ」
…なるほど。
状況はだいたいわかった。
パパとママが別れる=お兄ちゃんたちは扶養してもらえなくなる。
それで困ったお兄ちゃんたちはなんとかママに頼み込んでチャンスを与えてもらった…ってところかな?
扶養されるチャンスを。
「…お兄ちゃんたちほんとにクズ…」
私はママの隣の椅子に座りながらお兄ちゃんたちをジト目で見たら、お兄ちゃんたちはうっ…と声をあげて私から目線をそらした。
「じゃ、アピールしたい人ー」
ママの一言で兄たちが次々にはいはい言ってくる。
うるさっ!!
てかどんだけ扶養されたいんだよ!!どんだけ自立したくないんだよ!!
みんな必死すぎ!
もう見てるこっちは恥ずかしい!
「すいません!」
急にトド松お兄ちゃんが立ち上がった。