”違う”…知ってるそんなこと。
□第 7 話 風邪
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「んっ……眩しい……」
もう朝…?
それにしても…
「………」
なーんかだるい。
ん?だるい?
「………まさか」
鏡のところにある体温計を手に取り、恐る恐る計ってみた。
結果は……
「……38.2度」
やっぱりあったか…。
「どうしよう…バレないで過ごせるかな……」
一日中寝てるとか絶対嫌だ。
だけど、兄達を欺くのは容易いようで難しい。
おそ松お兄ちゃんは馬鹿だけどこういうところは鋭い。
カラ松お兄ちゃんは優しいし、いつも兄弟や私のことを気遣ってくれて るから気づいちゃう。
チョロ松お兄ちゃんも同様で、いつもみんなのまとめ役みたいなのだから違和感には気づく。
一松お兄ちゃんは……多分気付いたとしても言わないだろうなぁ。
十四松お兄ちゃんも意外と人のこと見てるから気づきそう…。
そして、最大の敵はトド松お兄ちゃん。
人の変化に一番敏感だから、とりあえずトド松お兄ちゃんさえなんとかなればあとはどうにかなると私はみた!!
「…よしっ」
平常心、平常心!
私はいつもの部屋着…お兄ちゃんたちとお揃いの白のパーカーに着替えて、階段をゆっくりと降りた。
「おはよー」
「おはよう、帆乃香。遅かったね」
ギクッ
「ちょっと本読んでから降りてきたから…」
チョロ松お兄ちゃんが遅かったねって言うから一瞬気づかれたかと思った。
「帆乃香!!おはよー!!」
「十四松お兄ちゃんおはよう」
そう言うと十四松お兄ちゃんは嬉しそうにニコニコ微笑んできた。
あぁ…癒しだ。
それにしても…
「チョロ松お兄ちゃん、他のお兄ちゃんたちは?」
他の兄がさっきから見当たらない。
「あー…みんな出かけてるよ。おそ松兄さんとトド松はパチンコで、カラ松は母さんと買い物に行ってる。一松は…猫じゃないかな?」
「へぇ……」
敵が思ったよりいなくてなんだか拍子抜け。
ピトッ
「!?」
「あーやっぱり帆乃香熱ある!」
「なっ…」
十四松お兄ちゃんがいつの間にかチョロ松お兄ちゃんと私の間に入ってきていて、私のおでこにピタリと手を当てていた。