”違う”…知ってるそんなこと。

□第15話 恐怖の対象
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カラ松side

拉致事件から1週間が経った。

俺たち上から3人…要するに、おそ松、俺、チョロ松は擦り傷だとかそんな程度で済んだんだが…
救急車に運ばれた弟3人と、妹…要するに、一松、十四松、トド松、帆乃香は大怪我をしていて。
トド松に関しては肋骨が折れているから入院中だ。

帆乃香は…未だに目覚めない。

あの事件は結局警察沙汰になり、性的な事件としても処理され、あいつらは逮捕されることになったらしい。
俺たちは被害者だったから、自分を守るためにやり返したということで、逮捕を免れた。

十四松は足を骨折していて松葉杖をついていて、 一松は腕を骨折していてギプスをしている。
2人は打撲が多くて、未だに青い痣が身体中にあるものの、事件当日の夜にすぐに意識は目覚めた。

だから、いま家にいるのは…おそ松、俺、チョロ松、一松、十四松だけ…だ。
トド松と帆乃香は病院。

「…おそ松兄さん、今日も行こうよ」

チョロ松が、しんとしている家の中、そう声に出した。

俺たちは帆乃香やトド松の様子を見に、毎日病院に行っている。
トド松に関しては意識はあるし、割と元気だから問題ないんだが…

帆乃香に会うのが問題なんだ。

帆乃香はあれから1週間経つというのに目覚めない。
栄養を自分で取れないために、チューブで点滴をしていて。
その痛々しい姿を見るのが、おそ松は嫌らしい。

十四松も辛いみたいだけど、帆乃香に会いたいからっと言って、苦手なのを我慢している。

「…俺はいいや。誰か行って来て」

「は?本当にいいの?」

「うん。俺あの帆乃香の姿みてるの辛い」

「……」

おそ松のセリフには誰もが思っている言葉で、誰も否定することができなかった。

「…でも、俺は行くよ。他に行く人は?」

「ブラザー俺も行く」

妹が目覚めるまで、俺はちゃんと待ってる。

「カラ松、ね。後は?」

「俺も…行く…っ」

「十四松…大丈夫なのか?」

「帆乃香を見てるの辛いけど…俺よりも帆乃香自身が辛いだろうから我慢する」

十四松は笑顔でそう答えた。

…こういうところが十四松は優しいと俺は思う。

「一松は行かない?」

「………やめとく」

「そっか。じゃあカラ松、十四松行こっか」

「うん!!」
「そうだな」

俺たち3人は、帆乃香とトド松が入院している病院へ向かった。
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