”違う”…知ってるそんなこと。
□第16話 作戦〜前編〜
1ページ/8ページ
チョロ松side
昨日の兄弟会議の翌日、さっそく俺たちは帆乃香を元に戻すための作戦の実行に入った。
今日は俺が担当。
「んー…なにを作ろう」
そもそも帆乃香、食べてくれるのだろうか。
帆乃香は昨日の夕飯も、今日の朝ご飯も昼ご飯も食べに来なかった。
母さんや兄弟曰く部屋から一歩も出てきていないらしい。
もちろん、俺も帆乃香が部屋から出てきたところを今日は見ていない。
なのに俺が作る夕飯だけ出てきてくれるというのはありえるのだろうか。
いや、ありえないと思う。
だから、最悪の場合帆乃香の部屋まで運ぶつもりだ。
母さんが朝と昼はそうしたらしいから、開けてくれるとは…思う。
「うーん…それにしてもどうしよう」
なにを作ろうか迷う。
あんまり難しすぎるのはちょっと俺自信ないし。
ここは兄弟の意見を聞いてみようかな。
「ねぇ今日なに食べたい?」
俺のその一言に、十四松とトド松は野球盤から手を止め、おそ松兄さんとカラ松と一松はテレビを見るのをやめて、俺の方を注目してきた。
「俺唐揚げ!肉食べてぇ!」
「俺も!!肉食いたい!!!」
「フッ、ブラザー俺も唐揚げとキャベツの千切りが食べたいぜ…」
「…なんでもいいんじゃない」
「僕もなんでもいいかなぁ」
…うわ、なにこれ。
一松とトド松はともかく、残りの兄弟が原始人に見えてきた。
ていうかお前らの意見ほんっとに役に立たないな!!
「いや、あのさ…帆乃香を中心に考えて今日食べたいもの考えてくんない?」
「帆乃香を中心にーっ?あいつ何好きだっけ?」
「甘いもの、じゃないか?」
「…夕飯に甘いもの食べんの?ゲロ出そう」
「一松兄さんきったな!!帆乃香が好きなもの…モッツァレラチーズのトマトソースパスタだけど…夜にパスタはないよねー」
「パスタを夜はねー…」
「…ていうか俺たち、帆乃香のこと何も知らないんだな…」
カラ松の言葉に、誰もが詰まった。
昔は帆乃香のことをたくさん知っていたはずなのに、どうして俺たちいつのまにか知らなくなっていったんだろう。