”違う”…知ってるそんなこと。
□第18話 作戦〜後編〜
1ページ/5ページ
トド松side
昨日の居酒屋はひどかった。
おそ松兄さんとカラ松兄さんは相変わらず酔い癖が悪く、絡みがうざかった。
チョロ松兄さんは帆乃香に料理を褒めて貰えたことがよっぽど嬉しかったのか、自慢ばっかり。
一松兄さんは泣き喚いてばっかりで、十四松兄さんは一言も喋らずに、ただ酒とおつまみを食べていた。
僕は、長兄に絡まれていてお酒もあまり飲めなかったし、おつまみだってチョロ松兄さんに"お前俺の話聞いてねーだろ!お仕置きとしてこのおつまみは俺のだ!"とか言われて取られ、あまり食べることができなかった。
ちなみに、おそ松兄さんたちはまだ寝ている。
「はぁ……」
昨日こんなことがあったとはいえ、今日は僕のターン。
帆乃香と手芸か。
僕、ぶっちゃけ手先は器用な方じゃないんだよねー…。
不安になりながらも、フェルトと作り方の本と、裁縫道具を持って帆乃香の部屋へと向かう。
コンコン
「…はい」
「帆乃香おはよ。トド松だけど…入ってもいい?」
「トド松お兄ちゃん?大丈夫だよ」
帆乃香の許可も出たのでさっそく帆乃香の部屋へと足を踏み込む。
…帆乃香の部屋に入ったの、久しぶりだなぁ。
「どうしたの?トド松お兄ちゃん」
「大した用事ではないんだけど…ねぇ、帆乃香!僕と小物作りしない?」
「小物?」
「うん!この本見て!僕可愛くて作りたくなっちゃったの!でもほら…僕って手先はあんまり器用じゃないじゃん?だから…帆乃香と一緒に作りたいなと思って」
僕は帆乃香に小物作りの本を見せた。
帆乃香はパラパラとその本に目を通していく。
「へぇ〜…。フェルトで作るものなら、私でもできるよ。面白そうだね」
「でしょ!帆乃香は何作りたい?僕、この本のものなんでも好きだから、帆乃香が選んでいいよ!」
「え、でも…」
「いいからいいから!帆乃香が作りたいって思うものはどれ?」
帆乃香はうーんと悩みながら、とあるページで手を止めた。
「…これ、かな」
帆乃香が指差したのはうさぎの小さなぬいぐるみ。
うさぎ………。
なんだか、記憶のあるようなないような…。
「おっけー!これね、可愛い!僕も気に入っちゃた!」
「ならよかった…」
「じゃあ、さっそく作ろっか!」
「そうだね」
そして僕と帆乃香は3時間くらい、このウサギを作るために針と向かい合った。