”違う”…知ってるそんなこと。
□第20話 真実
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カラ松side
「「「「「「ん……」」」」」」
俺たちは一斉に目を覚ました。
薬の影響なのか、頭がガンガンと痛む。
…っ、それにしても……
「おそ松!一松!!お前ら…帆乃香になんてことをしていたんだ……!!」
知らなかった。
二人が帆乃香に強姦未遂…いや、あれはもう強姦同然だ。
特におそ松に至っては。
「ご、ごめんなさい………っ」
一松は俺に怯えるようにして謝る。
だがおそ松は…
「お前も人のこと言えんのかよ?カラ松。勝手に勘違いして帆乃香に無視したくせに」
「…ッ」
その通りだ…。
俺におそ松を責める権利はない…。
「どっちも酷いよ。でも、おそ松兄さんと一松兄さんはありえないと思う」
十四松がゆらりと立ち上がってそう言った。
その目には怒気を含んでいて、いつもヘラヘラと笑っている十四松からは想像できないくらいの声のトーンの低さだった。
一松は当然びくりと震え、おそ松も顔が引きつっている。
「………ごめん」
おそ松はその震えるような緊張感の中、ポツリと謝った。
だが、十四松の怒りはそれで終わらなかった。
今度はチョロ松の方を向いて口を開く。
「チョロ松兄さん、あの場面にいたくせに、なんであれしか怒らなかったの?"犯罪だからやめろよ"?信じられない。犯罪だから何?犯罪だからじゃなくて、帆乃香がどれだけ傷ついたかを考えないの?ほんとにありえない」
それを言われたチョロ松はその自覚があったのか、十四松から目線を逸らし申し訳なさそうに口を開いた。
「…ごめん。でも、あの時は自分のことでいっぱいだったんだ…」
「言い訳なんて聞きたくない」
「……ごめん」
今度は、トド松を向いて笑顔で言う。
「トド松は偉かったね。ちゃんとおそ松兄さんに怒ってたし、あれから帆乃香のこと守ってたもん。だけど…」
急に十四松の声が低くなる。
「……なんで、僕とカラ松兄さんには強姦のこと、教えてくれなかったの?」
「そ、れは…」
「トド松のことだから映像にはなかったけど、どうせチョロ松兄さん辺りに似たようなことがなかったか聞いたんでしょ?そして、二人でこのことは内緒にしようって約束した。きっと、帆乃香を守るために。でもその結果、俺とカラ松兄さんは何も知らないままここまで来ちゃった。ねぇ、いっつもトド松はそうだよ。何も教えてくれない。いじめの件だって本当は知ってて、カラ松兄さんみたいに俺たち六つ子の中で騙される人がいないように先回りしてその子たちにとどめを打ってたんでしょ?ねぇ、違う?」
「……その通りだよ…。チョロ松兄さんも同じような場面を目撃してて目撃者は僕らしかいなかったから、二人で黙ってようってなってた。いじめの件は…カラ松兄さんはすでに騙されてたから間に合わなくて…。それでも、どうにかしたくて…いじめてるのは帆乃香じゃないってことを証明するために、遠回しに矛盾している証拠をカラ松兄さんの周りに置いたりして…カラ松兄さん自身で間違いに気づいてもらえるように仕掛けた」
「そう、だったのか……」
だから俺の帰ってきたときに、何度か廊下に"松野死ね"と書かれた落書きされたカバンや制服が置いてあったのか…。
じゃあ俺はトド松がそういうことをしてくれなかったら今もきっと…。
そう考えると背筋が震える。