”違う”…知ってるそんなこと。

□第13話 18歳未満用
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*第13話の性的描写を抜いたものです。軽くは説明していますが、R18ほどではございません。R15ほどのものになります。
*性的描写以外はなるべく本編の13話とそのままにしています。






一松side

帆乃香が帰ってこない。
どうしよう…。
とりあえず十四松と北方向に飛び出してきたはいいけど…

「一松兄さん!!早く帆乃香探さなきゃ……どこ探す!?」

「あ…えっと…どうしよう、ね」

「一松兄さん?」

…ごめん、十四松。
動揺してて…考えることができない。
情けないけど、手も震えてる。

それに気づいたのか気づいていないのか、十四松は話題をそらした。

「とりあえず、ここら辺からはあんまり帆乃香の匂いしないよ!!」

「……じゃあ、もう少し奥いこ」

「うん!!ねぇ、一松兄さん!」

十四松が急に笑って、手を差し出してきた。

「……?」

……なに?

「…大丈夫。帆乃香は絶対見つかる!俺たちで見つけよーよ!!一松兄さん!!」

「…!そう、だね…」

「うん!!」

十四松…ありがと。

俺は十四松の手をとって、二人で走り出した。














「はぁっ…はぁっ……」

とりあえず探し回ったけど、帆乃香は見つからない…。

「い、一松兄さん…なんか帆乃香の匂い少しもしなくなってきちゃった…」

「えっ…?」

もしかして、行きすぎた?

ヴーーヴー

「あっ…トド松からLINE来てた!!」

トド松?

「俺使い方微妙だから十四松見て」

「おっけー!!えっとねー…」

十四松はスマホをちょっと不慣れな手つきで操作する。

「2つ送られてるよ!」

「どっちも読んで」

「アイアイサー!えーっと、"友達と帆乃香は2時間前にとっくに分かれてる。帆乃香は今一人で、友達のこのLINEに近所のコンビニっていうメッセージが届いて、それにその子が返信してから既読がついてない"だって!」

…!
やっぱり帆乃香はつけてたやつに連れてかれたってことか…。
近所のコンビニ…?
うちの近くのコンビニのこと?

「もう1つはね、元ス!!」

「…は?」

「元スって!!」

「……ちょっと見して」

十四松が持っているスマホの画面を覗き込む。
そこには本当に元スって書いてあった。

……トド松がこういう風に文字の打ちミスすることは多分ない。
だから、"元ス"が言葉なのかもしれないけど…

相手は手馴れてる不良だと思うし、トド松は喧嘩はそこまで得意じゃない。
つまり…



「……慌てて打った文字かも」

「えっ、慌てて…?一松兄さんそれって…トド松も危ないってこと!?」

「……かもしれない。急ごう」

今度は十四松が不安そうにしてきたから、俺は十四松の手を引っ張った。








元ス……どういう意味だろ。

十四松と来た道を戻りながら考えに浸る。

「ん……?なんかこっち側…」

「…どうしたの?十四松」

十四松は鼻を唐突にヒクヒクさせて…

「一松兄さん!!こっちから帆乃香の匂いがする!!トド松の匂いも!」

「…マジで?」

「マジ!!!」

「走るよ、十四松!」

「もちろん!!」

俺たちは十四松の嗅覚を頼りに、帆乃香とトド松がいるであろう場所に走って向かった。
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