ミドル系ごちゃ混ぜおそ松さん
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ーーーーー事に至る前
時計の針は深夜の1時30分を指していた。
みんなは二階で完全に眠りに入ってしまっていて、一階には私とおそ松お兄ちゃんしかいなかった。
私もおそ松お兄ちゃんも眠れなくて、一階に降りてきていたのだ。
眠れないし暇だからテレビでも観てよっかとおそ松お兄ちゃんが言い、私とおそ松お兄ちゃんは深夜にもかかわらずドラマを観て過ごしていた。
それも、兄妹の恋愛ドラマ。
当然気まずい空気が流れる。
「……なぁ、春香」
「…何?おそ松お兄ちゃん」
「お前よくこのまま観れるね?俺すんごく戸惑ったんだけど」
「…そこは察して」
兄妹の恋愛ドラマなんて私だって気まずいに決まってる。
だからこそ顔に出さないようにしてたのに…!
「お兄ちゃん馬鹿だから察せません〜。で?春香はどう思う?」
「何が?」
「兄妹で恋愛〜」
ニヤニヤとまさにセクハラしそうな顔でそんなことを言ってきた。
「いや別に…てか、ありえないかな」
「え?なんで?」
「兄妹で恋愛だよ??リアルに考えたとしたら、私は絶対嫌だね!気持ち悪いしこんな兄が恋人とかぶっちゃけ思いたくない」
「酷い言われよう!!お兄ちゃん泣いちゃう!」
「泣け。但し私の視界に入らないところで」
「そう言われるとあえて別のことしたくなっちゃうんだけどなぁ〜?」
「は?…っちょ、何し…!?」
ドサッ…という音とともに私の視界は反転する。
そして目の前には兄のニヤニヤとした顔。
…っ、私おそ松お兄ちゃんに押し倒され…てる…?
丁度テレビのドラマも、兄が妹を押し倒しているシーンで、おそ松お兄ちゃんはすんげぇ!ナイスタイミング!とかってテレビに向かって言った。
「ナイスタイミングじゃないから!何すんの、どけて!」
「だぁかぁらぁ〜言われたことと反対のことをしたくなるってさっき言ったろー?」
「じゃあどけないで」
「うん、どけない♡」
「はぁああ!?言ってることが矛盾してる!!」
結局はどっちもどける気ないんじゃん!
「なあー春香お兄ちゃんとセックスしよ?」
「無理。絶対無理」
「なんで!?いいじゃん別にちょっとくらい!減るもんじゃないしさぁ」
「私の処女を失うわ!!」
「じゃあ俺の童貞あげるから!」
「超いらない。心底いらない」
「そんなこと言わないでさぁー抱かせてよ、ねぇ春香?」
「っ、無理なもんは無理!その辺の女の子拾えばいいでしょ!」
「俺は春香がいいのー!」
「妹襲いたいってどんな神経してんの!?あぁもう本当にどけ…っ、!?」
ーーーーー突然、部屋の空気が変わった。
私もおそ松お兄ちゃんもふざけるのをやめ、その緊張感に負けて身体が停止する。
「…っ、これは…」
おそ松お兄ちゃんが何かを判断した時、急にテレビの電源が落ちた。
「おそ松お兄ちゃん……これって…」
「あぁ。"あいつら"が入ってきた…」
おそ松お兄ちゃんは眉間にしわを寄せ、警戒を強める。
というのも、松野家はおそ松お兄ちゃん、チョロ松お兄ちゃん、一松お兄ちゃん、トド松お兄ちゃんの4人の札で貼った結界で護られていて、霊が松野家に足を踏み入れることはほぼないからだ。
足を踏み入れられるのは、結界が弱まっている時か、それ以上の強さを持った霊だけ。
つまり、とても強い可能性が高い。
「…っ、あいつら寝すぎだろ…音一つしねぇ」
こんなに一階は緊張感に包まれてるのに、二階では物音一つしていなかった。
『ーーーオマエ、ウマそう』
「!?」
突然、頭の中に声が流れてきた。
おそ松お兄ちゃんを観て観るけど特に何も変わってなくて、聞こえていないみたいだ。