捧げ物

□五月雨と傘(日月)
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*R18


家の中に入ってすぐ、伊月は“風呂に入ってろ”と日向に言われ、言われるまま湯煎に浸かった。

湯煎は暖かいが、伊月の心はちっとも晴れない。

日向がいなければずぶ濡れで帰っていたはずで。
日向に感謝すべきだったのに、日向を怒らせて自分は何をやっているんだろう。

「伊月、入るぞ。」
「っ!日向!?」

日向と一緒にお風呂に入ったことなんて付き合い始めてまだ一度もない。
日向に何度か誘われたが伊月の方が恥ずかしくて、そのたびに断ってきたのだ。

伊月は湯煎に顔を沈めたが、日向も湯煎に入ってきて無理やり顔を上げさせられる。

そしてそのまま深いキスをされた。

「ふぁ…んっ、日向…。」
「ん、伊月…。」

何だろう、さっきから湯煎が妙にドロドロしている気がする。
まるで粘り気の軽いローションのような湯煎に、伊月は一瞬停止した。

…まさか、これ、なんか入浴剤入ってる?

この前、町のどこかでローション作用入りの入浴剤を売っていた気がする。
まさかと思うが、それしかもう考えられない。

「ちょっ、待って!日向まさかここでする気じゃ…。」
「そのつもりだけど?」

“何で”と言う伊月の不安げな顔に、日向がたくさんのキスを降らせる。

しかし伊月が日向を怒らせてしまったのは本当だったらしい。

「優しくするから、な?」

しないという選択肢はもはや残っていなかった。

***

「うぁ…ん…日向、お湯入って来てっ…!」
「大丈夫だって、心配すんな。」

お湯の中ということで、後方の指が出入りする度に伊月の中にはお湯が入ってくる。

大量の湯気で室内は曇り、伊月の頭もボーッとしてきた。
それでも日向は指を止めようとはしない。
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