EXO

□嘲
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「ヒョン、もしかして少し太りました?」

「そんなことない、体重も変わってないから」

ふーん、といかにも興味なさ気な声とは裏腹にセフンの手が太ももへと伸びる。肌に直に触れられたわけでもないのに鳥肌が立ちそうになった。

質感、弾力を確かめるように白くて細い手が揉むような動きをしながら何度も往復する。セクハラで訴えるぞ。

「ねぇ、クリスヒョン」

「…何だ」

「人間の一番美味しい部位、知ってますか」

「知らない」

「太ももなんですって」

この前本で読みました、と続けながら猫のように目が細くなるセフン。
どうしてこんな僕は何も知りませんと言うような顔でそんなことを言うのだろうか。

「俺を食うつもりか?」

「嫌ですよ、不味そうだし」

ふふ、と口元を歪めて笑うセフン。
じゃあ言うなよ、とも言えず黙りこむ。その薄い唇の感触はどんなだろうか、綺麗に揃った歯で噛まれたら…?と考えてゾクッとしてしまった。

「……」

そんなことを考えるなんて、俺は相当疲れてるのかもしれない。そう思いなおしても、何故かセフンの唇から目を離せない。

「何興奮してるんですか、気持ち悪い」

「…は?」

セフンの蔑みの混じった声に恐る恐る下を見る。…嘘だろ。

「…お前がずっと触ってくるから」

「男に触られて欲情するんですか?」

嘲笑を浮かべるセフンの手が離れた瞬間、その手が俺の制止をかいくぐって俺の首に触れる。

「それとも、噛まれたいとか思いました?」

高慢な笑み。その笑みに自分でも驚くほど動揺している、いや、興奮してるのかも。

「ほら、何とか言ってみてくださいよ」

流れるような動きでセフンは俺に抱きつき吐息混じりの声で囁きかける。思わず身がこわばった。

「…どういうつもりだ」

「別に、特に考えは無いです。ただ、クリスヒョンは変態なのかなって」

「変態はお前の方だろ」

「さぁ、どーだか」

ニヤニヤと笑うセフンが癪に障って、少し脅かしてやろうと思った。
隙をついて、押し倒してみる。

「!……あ」

笑みが引っ込んだのは一瞬で、また元のように余裕の目が俺を見上げる。本当にむかつく。

「生意気は躾け直すべきだろ?」

どうしてこんなにムキになっているんだろう。図星だからか?翻弄されているから、か?

「そもそも。あなたにしつけられた覚えはないんですけどね」

「は、言ってろ」

噛み付くようにキスをした。
異常性癖ならそれはそれでいいんじゃないか。




(泣いたって許してやらない)

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