EXO

□嬉々楽々
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リビングで寝転がって天井を見上げる。すぐそばのソファにはスホ兄さんが座ってる。
コーヒーを持った兄さんは、何をするでもなくあおむけで倒れている俺に声をかける。

「そんなところで寝るの?」

「寝ないよ」

こんな固い床で寝れるわけない。第一まだ夕方じゃないか。俺は子供じゃないって分かってるくせに。

兄さんはふぅん、と言ってくるくるスプーンをまわす。視界の端で追いながらため息をついた。

「何でため息つくの」

「だって兄さん、そこは『こっちおいで』って言うとこでしょ」

少しすねた口調で言ってみた。
一瞬驚いたような顔になって、それからいつもみたいに嬉しそうにふにゃって笑う兄さん。
そしてちょうど自分の横のスペースをぽんぽんと軽くたたいて俺を呼ぶ。

「こっちおいで」

「嫌だよ、気が変わっちゃった」

わざと兄さんと反対方向に寝返りをうつ。
言われてからじゃ遅いじゃん。

もう知らない、と目を閉じた。このまま本当に寝ちゃおうか。

すると、兄さんが立ち上がる気配がして、テーブルにマグカップを置いた音がした。
むに、とほほをつままれた。

「わがままー」

たぶん声からすると今満面の笑みなんだろうな、兄さん。
目をつむったままだから分からないけど。

「兄さんが悪いー」

頬をつまむ指を振り払うようにまた逆方向に身をよじる。
兄さんなんて知らない。

「うりゃー」

と、両頬を両手で挟まれる。
さすがに目を開くと、兄さんの顔のドアップ。
ああ、俺をまたぐように立ってたのか。

と理解すると同時に唇にキスされた。

「これは正解でしょ?」

なんて楽しそうな顔するんだ、この人は。
俺も楽しくなってきちゃって、兄さんを引き寄せて耳元でささやく。

「期待以上。兄さんにしては上出来」

「お、ほんとに?」

はは、と兄さんはまた笑う。俺がちょっとふざけて偉そうなことを言っても何にも本気にしない。本当によく笑う人だ。

「ほんと」

俺もお返ししなくっちゃね。
晩御飯食べた後でいいよね?

*嬉々楽々

(期待していいよ、兄さん)

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