EXO

□game over
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(ベッキョン)

チャニョルは何でもよく気づく方だと思う。さりげないことなんか褒めるのが得意だ。そういうヤツだから女の子にもモテるのかな。生憎だけど俺はそんな三センチ単位の髪の長さの変化なんて気づかない。

それだけじゃない、さり気なく言った『アレ可愛い〜!』とかを律儀に覚えてプレゼントしたりするような優男だ。おーおー、まるで『少女漫画の王子様みたい』だ。ちなみにコレはかつての元カノが言ってた台詞だったりする。

「あら、ベッキョナ〜!そのネックレスおろしたてのヤツ?」

噂をすればご本人様が後ろからお出ましだ。
裏声で異様にくねくねしながら近寄ってくるチャニョルに肘鉄を食らわす。感覚的にみぞおちに入ったと思う。あー背が高いと大変だねー。

「何でそんなオカマっぽい喋り方なのさ」

「チャニョル先生のファッションチェックコーナーだからかなぁ」

語尾に音符を飛ばすようにルンルンなチャニョル。なんか面白そうなのでノッてみる。

「チャニョル先生〜、今日の俺何点ですか?」

まだカマキャラを通す気なのか、口許に手を当てて、そうねぇーと首をかしげる。
俺は両手を広げてその場でゆっくり回ってみせる。

「ベッキョナが可愛いから3万点〜!」

「ファッション関係ないじゃん!」

「ベッキョナがかわいけりゃいいの〜」

後ろから抱えられてグルグル回される。
軽々と抱えられるのはちょっと嬉しくないけどこれは楽しいから仕方ない。

「チャニョラもっともっと〜!」

「オッケー!」

そのあとマッハ3ですっ飛んできたディオに、この前そうやってて吹っ飛んだのを忘れたの?、って怒られた。二人で正座して二度としませんって謝った。

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チャニョルはゲームが下手だ。別に壊滅的じゃないけどやってる量の割にはそこまで上手くない。多分センスがない。

「あーダメじゃんそこで掴み技かけられたら負けるってば」

案の上、掴みから投げの大技にかけられて吹っ飛んで行った。

一人でストーリーモードを進めるチャニョルの横から茶々を入れる。別に自分でしなくてもリアクションが面白いから退屈しない。

「分かってるよ、上手くできないだけ!」

それを下手って言うんだよ、とは言わないでおいてあげた。
画面を必死でにらみながらガチャガチャやってるけど精々怒った子犬程度の迫力しかない。

「うぅー、あーもー止めた!」

コントローラーを放り投げてごろんとひっくり返ったチャニョル。飽きるの早かったな。

「あとちょっとだったのに?」

「せっかくベッキョナいるんだから構いたい〜」

にやにや笑って見下ろす俺に手を伸ばすハッピーウイルス。よく分かってらっしゃる。
その手に誘われるように俺も隣に寝転がる。

「ん、ベッキョナ、シャンプー変えたっけ?」

チャニョルからちょっと、笑顔が引っ込んで眉間にシワがよる。シャンプー・・・?ああ、アレね。

「あぁ、試供品使った」

セフナのお使いについて、ドラッグストアに行ったときにもらったヤツだ。女物だったからセフナがベッキョン兄さんが使えば?って茶化してきたからしばいておいた。まあ、結局使うんだけど。

「そっか、ちょっと気になっただけ」

「この匂いイヤ?」

「イヤじゃないけどいつものがいいな」

「そりゃそうか」

だって野郎からフローラルな香りしても誰が得するのかって話だよな。実際チャニョルからフローラルな香りがしたら俺は三日くらい笑う自信がある。
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