EXO

□ゆりかご
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「タオ、お前これ欲しがってたろ?」

ぱっと差し出されたのは俺の大好きなブランドの紙袋。
確かに前にカタログ見ながら欲しいなぁって言ったような気がする。

「開けていい?」

「うん」

ガサガサと袋を開けて、箱を取り出す。そーっと覗いてみるとやっぱり俺が欲しがっていたネックレスだった。

「隊長、いいの?」

「遠慮するな、誕生日祝いだから。」

喜ぶ俺を見て隊長も満足気に笑う。
素敵な人に好かれたなぁ、俺。

「ありがとう!隊長大好き!」

ぴょん、と飛び着いたら隊長に重いって言われた。ひっどい、俺そんな体重重くないよ!

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隊長にもらったネックレスを着けて隊長と二人でお出かけをした。
どこ行きたいって訊かれたから、映画が見たいって答えた。最近話題のアクション映画。勧善懲悪、ベタなのが一番安心して見れると思う。

「大人二枚で」

隊長が低い声でそう言うと、受付のお姉さんはちょっとぽやぽやした顔で注文通りのチケットを渡してくれる。隊長と話すお姉さんって大体あんな感じだよね、って言うと、美しさは罪だなって返された。何それ、意味分かんないよ。

「映画まではまだ時間あるね」

「そうだな」

腕時計を見ながら隊長が答える。
俺のネックレスと同じブランドのカッコイイやつ。

「ちょっと待ってろ」

「はーい」

何だろう?…お手洗いくらいなら付いて行くんだけどな。

ちょうど俺の見たい映画の予告が流れる。かっこ良く敵をなぎ倒すヒーロー。ピンチになっても勝つのはコイツなんだよな。分かりやすくて最高。

「タオ」

「あ、隊長」

声をかけられて振り向くと、二人分のジュースとポップコーンの乗ったトレーを持った隊長が居た。そうか、コレ買いに行ってたんだね。

「隊長それ一人で食べるの?」

「そんなわけないだろ、半分はお前のだよ」

呆れ顔でそう告げられる。
多分、全部一人で食べるって言われてもきっと俺はちょーだいって勝手に食べたと思うけどね。

「いいの?」

「俺がそうしたいからいいんだよ。」

「ありがと!」

ジュースも俺の好きなジュースで、隊長は俺の欲しい物を何でも知ってるんじゃないかなぁって思った。すごいや、さすが隊長。

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心霊番組って不思議だ。九割五分はきっとヤラセだろうと思っていても、ほんのちょっと本当かもって思わせられる。
そのほんのちょっとのせいで俺はいつも困る。


「隊長、怖いから一緒にお風呂来て」

ソファで足を組んで本を読む隊長に声をかける。一緒に見ていたルハン兄さんがさっさと寝てしまったから仕方ない。

「また怖い番組見たのか」

隊長は、本にさっさと栞を挟んでこちらを見る。あーあ、隊長はなんでもお見通しなんだなぁ。

「…うん」

「怖がりなのにそんなの見るからだ」

「怖いけど見たいじゃん」

口を尖らせて抗議したけど怖いもの無しの隊長は分かってくれなかったみたい。

「ハイハイ、ほらお風呂入るんだろ」

さっと立ち上がって歩き始めた隊長。

「あ、ちょっと、置いていくのナシだよ!」

背の高い背中を追いかけて、後ろから隊長の腕を取る。隊長の側にいると安心するんだよね、何でだろう?

「タオは本当に甘えん坊だな」

「えー?そう?」

「うん、甘えん坊。」

そこが可愛いけど、と付け足して隊長は俺の頭を撫でる。撫でるって言うよりはぐしゃぐしゃにする、が合ってるかもしれない。

一緒に入る?って冗談っぽく言われたけど隊長と入ったら足伸ばせないからやだよーってお断りした。
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