EXO

□月夜の晩に
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(タオ)

「ただいま」

いつもみたいにドアのベルが鳴って、やっと帰ってきたのはルハンさんが出てから20分後。買い出しにしては長すぎるよ。

「おかえりなさい」

遅かったね、と笑えば店長さんことクリス哥哥は困った顔をする。もしかして、花屋のおねーさんに引き留められてたとか?それとも、三軒向こうの雑貨店のお嬢さん?

色々想像して可笑しくなる。哥哥、女の人には強く出れないもんね。

「変わったことはなかったか?」

言いながら、冷蔵庫に食材を手際よく放り込む店長を後ろから眺める。

「ああ、ルハンさんが来たよ」

「へぇ」

「次、恋人連れて来てくれるって」

「それは楽しみだな」

きっとすごく可愛い人だよ。だってあのルハンさんが溺愛してるんだもん。
ふふと笑って言えば、哥哥もいつもあれだけ自慢してるもんなと笑う。

「今日は店閉めるか」

「はーい」

店のドアに掛かっている『open』の札をひっくり返す。テーブルを拭いて、掃除して明日の下ごしらえ。いつもの作業。

「ねぇ、てんちょー」

「なんだ?」

机に向かって帳簿をつけている哥哥に後ろから抱きついて、腕を首に回す。

「新メニューでカクテルとかどう?おねーさん達向けに。」

「お前が飲みたいだけじゃないのか?」

「あは、半分正解」

「まぁ考えてないわけじゃないが」

「おぉー」

嬉しい、の意味を込めて額をぐりぐり首筋に押し当てる。哥哥の大きい手が俺の頭をワシャワシャ撫でる。俺、犬みたいだね。
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