EXO

□ピアッサー
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「シウミン兄〜、こっち来て〜!」

ふにゃふにゃの声が俺を呼んでる。そっちが来ればいいじゃんっていうのは禁句だ。

「?」

ソファーに座ってるタオの横に腰を下ろす。うーん、と手のひらの上の物を真剣に眺めているタオ。

「どれがいいかなぁ?」

「げ」

見せられたのはピアス。しかもこれボディーピアス並みのごつさ。三種類見せられたけどシルバーやら黒やら・・・。

「臍にでも開けるの?」

「ううんー、これ軟骨にするピアス」

「また増やすの?」

「うん」

何か変?という顔でこちらを見ている。何て言おうか。

「俺はー、その、タオの体が穴だらけになるのは嫌だな。」

本質は少し違うけどこうしか言い方がわからない。だって俺知ってるから。誰かと別れるたびにタオはピアスを変えたがる、増やしたがる。あのふにゃふにゃの口調からは想像つかないくらいには色々な事があるんだろうけど。

「そっか、嫌なんだ」

「なんとなくだからそんな強く言えないけど」

この前なんてニードル構えてるとこに遭遇して腰抜かすかと思った。あれを自分の身体に刺す何て俺には想像できない。
タオってば、驚いてる俺に何て言ったと思う?

『兄さんもやる?』

耳がおかしくなったと思った。お菓子でも勧めるみたいなテンションで言うんだから。つまりタオにはその程度の認識しかないんだよな。

そんなんだから余計なお節介かもしれないけど止めたくなる。

タオはピアスをテーブルに置いてこちらに向き直る。

「いいよ、シウミン兄が嫌ならやめる」

「そう」

「じゃあピアスする代わりに兄がキスして」

「ちょ、待、待って」

なんでそうなるんだよ。

「ウミニの言うこと一個聞くんだから、タオの言う事も一個聞いて」

「……分かったよ」

減るもんじゃないし、一回だけなら。
目を閉じて、さあ早くしろとでも言わんばかりにスタンバイしているタオを見る。

*ピアッサー

(この先?教えてあげない)

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