三橋受け

□俺様捕手の恋事情
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「ねーねー、阿部の好きな子ってどんな子?」


昼休みに入って弁当を食べ終わり、のんびりしようとした時突然水谷が質問を投げ掛けてくる。


「お前バカ?別にそんなヤツ居ねぇし。」


クソレは黙ってろと睨み付けると水谷は花井に助けを求めた。
……犬かテメェは。


「まずオレ好きとかよくわかんねぇから、わりぃけど。」


手をひらひらと振り、あっちに行けと指示する。
実際、ずっと野球一筋なオレには恋愛なんてよく分からない。


「そー言わずにさぁ、ほら好きなタイプとかは?芸能人でいうと誰とかさ。」


「お前ホントそういう話好きな?それ聞いて何が楽しいワケ?」


呆れ半分、迷惑さ半分って言ったところだろうか。
ホントこういう話好きなヤツの気がしれねぇ。


「むー、じゃあ花井っ!お前はっ!?」


「オ、オレかっ!?」


漸く諦めた水谷は標的を花井に変更したようだ。
花井、ドンマイ。


「オレは…そうだな……清楚なカンジとか好きかな…。読書好きトカ。」


「あー、なんか分かる気ぃする!花井ってそーゆーカンジ好きそう!」


耳まで真っ赤にして語る花井を茶化す水谷。


「でも結局は世話のかかるやんちゃなカンジの子とかと付き合うタイプだよね花井って。野球部で言うと田島みたいなの。」


……それはオレも分かる気する。
理想と現実の食い違いなんてよくあるモンだ。


「なっ!ヘンな例えすんなバカっ!!」


じゃれる水谷と花井。
寝ようと思ってもこううるさいと眠れない。


「阿部もさぁ絶対世話かかる子と付き合う気ぃする。」


オレの話題から反れたと思ったのに再び戻ってくる水谷。
……こんのクソレが。


「コイツにはオレがついてやんなきゃってカンジだよ、絶対。とことん尽くしたいタイプだよね。」


「確かに好きなモンに対しては甲斐甲斐しくするもんな阿部って。」


これには花井も賛同らしく、二人で盛り上がる。


「冗談じゃねぇ。そんなヤツと一緒に居れっかよ。」


「えー?だって三橋の面倒とかみてるじゃん。そいで楽しそうにしてさ。まー怒ることもあっけど。」


へらへらと笑いながら緩い口調で話す水谷。
楽しそう……?
オレが?
三橋と居て?
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