本棚 コモニダート

□余光
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次の日ーーー

ア「ね〜ほんとにこれで出るの?」
ご令嬢様の扉の前に立ちながら聞く

フ「ええ、行くわ
アピスが乗り気でやってくれたじゃない」
平然と答える団服に着替えたフェイン

その体はところどころに傷メイクや痣メイクが施され、手と足には鎖がつけられていた

ロ「まあ〜たしかに痛そうだよねぇ
メイクだって分かってても」

フ「ふふふ、だって無傷で帰るのもなんですから…」

前日の夜、お風呂も終わり時間が余ったところでフェインが
「無傷で帰るのもなんなので、少し傷でもつくってくれませんか?」
と言い出したのだ

ロ・ア「えぇ!?」
2人で顔を見合わせ
ロ「できないよぉ〜」
ア「家族だし、王女だし…」
ロ「そうそう
やるとしたら着せ替え人形にするくらいかなぁ? リナリーにもしたなぁ、懐かしい…」

フ「あら遠慮がちな答えが返ってきてしまいましたわ もっとこう…喜ばれるかと思っていましたのに」

ア「いや、なんで?!」
ロ「やろうとしてもイノセンスに弾かれるでしょ〜」

フ「一族の方の能力には反応しますけれど、普通の打撃であれば大丈夫なので、普通に怪我させてくだされば…」

ア「え゛ なに そういう趣味なの?フェイン…」

フ「引かないで!? そんな趣味ないわ、さような扱いされたことないもの…

でも、ご家族の方にならいいかもしれないですね 方舟で皆様方楽しそうでしたし…」
ご令嬢様をみやりながら言うと

ロ「僕達は敵をいたぶるのが面白いだけで、家族の間ではそんなことしないよぉ…」

フ「それはそうでしょうけれど…
あのように楽しげなお顔が向けられたのなら、嬉しいかと思うのですが…」

ロ「フェイン、普通それ痛かったり苦しかったりするものなんだけど そこのところ分かってる?(焦」

フ「えぇ分かっておりますわ
もちろん私は痛いですし苦しいですけれど、皆様方が楽しそうにしてらしたら嬉しいですわ
普通に痛いですし、苦しいでしょうから私も笑うのは難しいですが…」

普段過ごしている中ではあまり見ない笑顔で本当に素敵でいらっしゃいました
あの笑顔がお美しすぎて言葉をなくしてしまいましたわ…

けれど、あの笑顔がたくさん見られるということは、それだけ戦いをたくさんなさってらっしゃるということですからそれは少し困ってしまいますね
おケガや危険なことがあるということですから…さようなことは…」

ロ・ア『これは素だ…』
ア『誰がフェインをこんなふうに…って皆か…』

フ「だからアピス 楽しみにしているわ
どんな表情を見せてくれるのか」

ア「え、えぇ〜… 普段と変わらないと思うよ…」
フ「あら、そうなの…?」
2人はフェインに少しばかり動揺と心配を覚えたのだった
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