鬼徹倉庫

□虐待を受けている白澤くんとその隣人の加々知さん
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『お前なんて名前なんだ?』

白澤だよ

『珍しい名前だな!』

うん、中国の神獣からとった名前なんだ

『なあなあ、その目の赤いのなんだ?』

アザみたいなものだよ、生まれた時からあるんだ

『ん…‥…‥?白澤、お前なんで夏なのに長袖なんだ?』

え?ああ、これはね…‥…



_不毛だ…‥…‥_














僕の父は銀行マンでいえは一般の家庭よりも裕福だと自負している。
しかし、銀行マンである父はまた転勤族でその家族である僕は数度の転校を余儀なくされている。
だから何度も同じ事を聞かれる。名前や目の縁にある赤いあざ。そして僕の服装。
その質問の全てに最初から用意していた答えを笑顔で答えていく。
そんな僕のモットーは『友人関係は広く浅く』だ。
友人はたくさん持っていても損はないし、楽に学校生活を過ごせる。けど僕はいつ転校するか分からない、深くつくると別れが悲しくなるから。だから友達を多く作りながらも深くは触れないし触れささない。
毎回そうで、きっとこれからもそうだと思っていた。
けれど、どうやらその考えは間違っていたようだ




「貴方はいつも長袖を着ていますね?」

「え…‥?」

目の前にいるのは隣に先日越してきた加々知さん。見た感じの歳は二十代前半の目つきが鋭い男性だ。
彼が越してきて数ヶ月。朝の挨拶程度の関係で合った彼が突然話しかけてきたのだ、そりゃ少しは驚いても仕方ないだろう

「なにか理由でもあるんですか?」

「え、あっ、これは僕肌があんまり強くないんだ。だから…‥…」

少し慌てながらも、この数年間で何度目行言ったセリフを口にする。
別に嘘ではない。肌は常人のそれより弱いしそれが理由で一度もプールに入ったことはない
けれどそれだけが理由なわけではないではない。
半分は本当で現実的で有りがちな理由だったからか、誰もそれ以上は聞いてこなかった。
今回も大丈夫と思っていた。そう思い込んでいた

「そうですか…、ならその肩のアザはなんですか?」

言われて反射的に手で隠せば痛みが走った。
いや、そんなことよりも 
そんなちっぽけなことよりも…

「こ、これは、昨日階段で転んじゃって」

「それにしては変なところにアザがありますね」

「そ、そうなんですよ。転けるときに手すりに当たったみたいで…‥…‥。あ、僕学校遅れちゃうんで……‥…‥!!」

勢いよく走る、頭の中はいろんなことが浮かんでは消えを繰り返してグチャグチャで泣きそうででも泣けなくて…‥

数分走り後ろを振り返れば加々知さんは居なかった。当たり前だ、スーツを着ていたから今から出社だろう。隣人の子供にかまって要られるほど大人は暇じゃない。
それに逃げたのは僕だ。追いかけて欲しいなんてお門違いだ…‥
この地獄から助けて欲しいなんて…‥
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