鬼徹倉庫

□続 虐待を受けている白澤くんとその隣人の加々知さん
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加々知さんの家はとてもシンプルで本当に人が住んでいるのか不思議な家だった。

「先にリビングに行っていてください。私はご両親に電話してきます」

一番奥の部屋だと言われ靴を脱ぎ加々知さんが出してくれたスリッパを履き奥へと進む。
失礼だと思いながらもキョロキョロ周りを見ながら進む。少し行くと扉があり開けると一人で使うには大きなモノクロのソファーとこれまたモノクロのテーブル。そして大きめなTV…‥
他の家具もすべてモノクロで統一していて加々知さんらしい部屋だった(ソファーの上にある金魚のぬいぐるみだけが異臭を放っていた)
そっと、ソファーに座ればふかふかでこのソファーが高級で有ることを表していた。
うちの家のソファーだってふかふかだがあまり座ったことはない。一度無断で座ってしまい父に怒られてから極力座らないよう心がけている。

ガチャ

「白澤さん、ご両親から泊まることを了承してもらいましたよ」

「え、嘘っ…‥」

絶対反対されて連れ戻されると思っていた。その後あるであろう暴力も覚悟していた。なのに…‥

「嘘ではありませんよ。
今お風呂を沸かしていますから沸いたら入ってください」

「そんな…‥!泊めてもらう身ですから加々知さんが先に…‥」

そう言い終わる前に自分の失態に気づく。
大人に逆らってしまった…‥
逆らってはいけないのに逆らってしまった…‥!
きっと加々知さんは不愉快に思っただろう。怒ってしまったかもしれない
顔が青ざめていくのがわかる
加々知さんを見れば無言で近づいて来ている。殴られる…‥!
とっさに思い下を向けば、予想していた痛みはなく逆に頭に暖かさが広がった
不思議に思い顔を上げれば加々知さんが無表情で僕の頭を撫でていた。

「白澤さんは優しいですね」

「え…‥?」

「ですが、貴方はまだ子供です。ある程度の我儘ぐらい言っていいんです」

そう言って頭を撫でる手はやっぱり冷たかったけどなんだか暖かくて…‥すごい矛盾を感じながらあと少し撫でて貰いたいと思った…‥
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