鬼徹倉庫

□続 虐待を受けている白澤くんとその隣人の加々知さん おまけ
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家に持ち帰ってきた仕事を終え背伸びをしてみると肩の当たりから音がした。一時的になった人間の体は疲れやすく、その上脆くて不便だ。
しかし、長期。それも数年にわたって現世にくるには鬼の体のままではいつかバレてしまう。

「四鉄なんかしたらすぐにぶっ倒れてしまうでしょうね…‥」

出来上がったデータをUSBに移し、パソコンの電源を切る。地獄では残業をよくしていたが現世では極力仕事を持ち帰ってでも定時で帰るようにしている。
理由は白澤さんを守るため
白澤さんは10数年前に現世で死んだ。死んだ時に何らかの理由で力が弱くなっていた白澤さんは神として生き返ることができず一定期間人に転生した。
神として生き返ることが出来ないほどの何か…‥
未だにその原因はわかっていない。そもそも白澤さんが人となり生まれ変わっていたと分かったのも最近だ。
この一連の事には、まるで何か靄がかかったように分かっていないのだ。
神の力を使っても分からない…

カチャッ

寝室の扉を開ければキングサイズのベッドに小さな白澤さんが寝ていた。
ソっとベッドに入ればいつもの冷たさはなく暖かかった。これが子供体温の効果か…‥
目の前には白澤さんの寝顔。何十年ぶりにこんな近くで見ただろう
優しく傷つけないように気をつけながら頭を撫でる。
体中にあったアザを思い出す。それはこの弱い子供の父親だろう。

「チッ…‥」

死んだ時には私直々に拷問してやる…‥
なんで、なんでこの人を大切にすることが出来るのに。私と違ってこの人が産まれた時から特別なのにこの人を傷つけるんですか…‥。

「…‥ちは…‥」

「え?」


「一人ぼっちは嫌だ…‥」

そう言って涙を流す白澤さんは寝ていた。これがこの人の本音…‥、人になってから嫌、その前からの本音なのかもしれない

起こさないように目の前の小さな体を抱きしめる。

「1人になんかしません、私がついています…‥白澤さん」

私が唯一愛した人に幸あらんことを…‥

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