鬼徹倉庫

□虐待を受けている白澤くんとその隣人の加々知さん
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「ふざけるなよ?!なんだこの点数は!!!!」

「ご、ごめんなさいっ…‥…‥!」

父の手には95点の数学のテスト。加々知さんのことが気になってテストに集中できなかったらこのザマだ。昨日の復習は無駄に終わってしまった。

「お前みたいなクズ俺の子じゃないっ!!」

バキッ

何度も何度も殴られる。
顔は殴られない、だって見つかってしまうから。だから服で隠れる部分はアザでいっぱいだ

殴られている時僕は「ごめんなさい」しか話せなくなった人形のように泣きながら何度も言う。
母は隣の部屋にいるが助けてはくれない。毎日見てみぬふり。

抜け出せない地獄

「もういい。お前は外に出ていろ!!」

そう言われて外に出される。
ああ、給食をもっと食べておくんだった。

お腹空いた…‥、なんで僕は生きてるんだろこんな世界しかないなら

「いっそ、死んだほうがいいよ…‥」

「…‥白澤さん?」

上を見あげれば加々知さんが無表情で立っていた。
僕の顔を認めるとすぐに駆け寄ってくる。

「なんでこんな時間に外に…‥。それに泣いているんですか…‥?」

「え、あ…‥。これは…‥。僕が悪い事をしたからお父さんに怒られちゃってそれで…‥」

僕が悪いんだ。満点を取らなかったから、お父さんの顔に泥を塗っちゃったから…‥

「…‥なら1日私の家で泊まりますか?幸い明日は休みですし…‥」

「え、でも…‥」

「ご両親には私から話します。いくら私でも子供が野宿するのをスルーできるほど冷徹じゃありません」

「…‥迷惑に、なる…‥し…‥」

下を向けば溜まっていた涙が溢れるコンクリートを濡らす。

「迷惑なら最初から言いませんよ。子どもなら何も考えず大人に甘えなさい」

差し出された手を握るととても冷たく本当に生きているのか疑いたくなった。

けど、誰の手よりも安心できる手だった…‥
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