black novel

□解けない[前編] 裏なし
1ページ/1ページ




私は、小さいときから数学が大好きだった

数学だけは誰にも負けたくなくて、
テストの勉強だって、数学にほとんど時間を費やしていた

高校生になるまで、数学好きの人なんて周りにはいなくて、

友達には「数学以外もした方がいいよ」といわれたけど、

答えが決まっていない国語や暗記教科の理科・社会、並べるだけの英語より、

自分からたった一つの答えを導き出す数学の方がやっていて楽しい

そんな数学が大好きな私は数学専門の高校に入った


そこには私と話があうような、数学好きがたくさんいて


そのなかでも、私は大好きな人に出会った


その人が渋谷真実だった



世間では変だと思われてしまうかもしれないけど

ここは女子校でそういうのは当たり前だった

私は異性からモてるけど、真実は同性から好かれていた

理由は球技大会で、真実はかなり野球が得意らしかった

球技大会でみる真実はすごくかっこよくて、私は恋におちてしまった

もちろん、そのときの真実もかっこよかったけど、本を読んでいるときも、警備している姿もかっこよかった


最初は見ているだけだった

でも、話してみたくて、

普段奥手じゃない私が、ここまで緊張するなんて初めてで、

数学と同じくらい夢中になっているのが自覚できた

初めて話したときはすごくドキドキして、目を合わすのも恥ずかしいくらいだった


話してみると、やっぱり推理オタクだってことがわかった

でも、冷めたりなんかしなかった

それは、真実がすごく優しい人だって気づいたから

たいしておもしろくない話でもニコニコ笑ってうなずいてくれて

知れば知るほど胸がドキドキして、息が苦しくなって、

近づけば近づくほど、うれしくなって、苦しくなる


「優梨は積極的で惚れやすいタイプ」


そういわれていたはずなのに、真実が相手では真逆すぎた

いままでは、好きになって告白して、
その人を知っていってもすぐに数学の方に夢中になってフってしまう

それなのに、

真実を好きになって、知れば知るほどもっと好きになって、

真実が目に入れば数学から真実に切り替わる

ここまで好きになったのに、いつものように告白すらできない

このまま告白できずに終わってしまう


そう思っていたのに、



「私、優梨のことが好きです!付き合ってください」


恋愛には奥手な真実のことだから、放課後に呼ばれても気づかなかった

まさか真実から、なんて思わなかった

告白されたときはうれしくて、気づいたときには涙が頬を濡らしてた

真実は、私が嫌がっていると思ったらしく

うろたえながら謝ってきたけど、

そうじゃないんだよって、うれしくてないてるんだよって、

涙を流しながら真実に抱きついた


真実と付き合って、惚れやすい性格から真実一筋になっていった

真実も大好きだけど、数学もやっばり大好きで

いろんな人とバトルする度に、友達やライバルが増えたり、解けない問題も解けるようになっていった


ただ、私にはどうしても解けない問題があった


正確に言えば、解ける問題も解けなくなるときが







つづく

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ