短編

□プレリュードの後
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最近急に態度を変えたあの子。

正直、気になっていた存在だけに戸惑いは隠せない。

揄うと、くるくると表情を変えて泣いたり怒ったり、時折笑ったり。


その表情がなんだか愛しくて、ついつい構っていたんだ。



ある日を境に、あの子から好意の態度を寄せられビックリしていた。



どうしていいか調子が狂う。嫌ではないけど、、、、面はゆいと言うか、気持ちの整理がつかないそんな感じ。


約束などしていないが、やっぱり会ってしまう。

それでも急に態度を替えられない俺はいつもの様に軽い感じで彼女に声を掛けた。




「よう!」

「よう。」

彼女も同じ調子で、返事をした。からかってやろうかと顔除くと、、、いつもとは違う表情。
クリアブルーの瞳に涙をため、俺を見つめていた。


「どうした?またテストで赤点でもとったのか?」


「ごめん、ごめんなさい、ごめんなさい。。。。」

なぜ泣いているのかは俺には分からない。けど儚げになく彼女をそっと抱き留めて自分の胸を貸してやる。

そうしなければ、いけない気がして。。。


「どうしたんだ?俺でよければ聞いてやるよ。」

「・・・・ごめんなさい。。。」



すぐには泣き止まず、しばらくの間、俺の腕の中で震えていた。

近くのベンチに座らせ、俺はココアを買ってきて渡した。

「ほら、これでも飲んで落ち着けよ?大丈夫か?」


「ありがと。もう大丈夫。。。ごめんなさい。急に泣いたりして。」

少しは、落ち着いたらしく、渡したココア缶を受け取った。




いつもと違う様子の彼女に戸惑いつつ、それでも泣いた原因を無理に聞こうとは思わなかった。

沈黙を破ったのは彼女だ。


「…あのね、自分が気づかないうちに大切な人に苦しい思いをさせてしまっていたら、衛さんはどうする?


漠然とした質問、けれど張りつめた表情の彼女にいい加減な返事は出来ない。




「そうだなぁ。大切な人っていうのがどの程度か分からないが、すごく責任感じるよ多分。」

「うん。。。」

「でも、【その大切な人】に起こった事はその人の運命だった、とも言えるよな。」


「え?!」


「自分が原因と思っていても、それは己の主観、、、っていうか自分の思い込みみたいなもので。その【大切な人】から、お前が原因だって言われていないなら、責任を感じる事はその人に対して失礼かもしれないな。」


出来るだけ、彼女を傷つけない様な事を考えながら、俺の考えを述べてみる。



「その人の人生はその人間の物だ。他人がどう思ったって本人が納得しているなら、お団子が後悔する必要はないんじゃないかな。」



それを聞いて、彼女は眼を見開いて俺を見ていた。
目にはまた涙が溜まっていたが、手でそれをぬぐいながら、今度は笑顔を作りこういった。

「…衛さんは優しいね。今日はホントにありがとう。急に泣き出してごめんなさい、次に会うときは元気なうさぎちゃんだから!!」

そう言って立ち上がり、彼女は走ってさって行った。

取り残された俺は、元気になったあの子を見て安心したのたが。
同時に彼女の思う【その大切な人】に、少なからず嫉妬心を覚えた自分に驚いていた。





〜あとがき〜
これはカセットコレクション3を聞いて、あの時まもちゃんはどう思ったなかなと、自分なりに書いてみました。
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