短編
□制服
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良い天気なので衛は、服の整理をしていた。
(コートやセーター類はクリーニングに…、着てない厚手を虫干しだな。)
豆な性格上、衛は定期的に部屋の整理をする。
(あっ、これ…。)
クローゼットの奥に、ビニールをかけたままの一着の服。元麻布高校のブレザーだった。
(懐かしいな。)
もう着ることは無いので、処分しても良かったのだが、特に譲る相手も居ないのでそのままになっていた。
(まだ、着れるかな…。)
興味本意で、制服を取りブレザーを羽織る。今日は白の襟つきシャツなので、そのままネクタイも閉める。
〜トントン、ガチャッ。〜
「まもちゃん、こんにちは!約束してなかったけど来ちゃ…た…。」
部屋のドアが勢いよく開き、うさぎが入ってきた。
「おっ!うさこか。いらっしゃい。服の整理をしてたんだ。」
衛を見た瞬間から、うさぎは微動だにせず立ちすくんでいた。
「うさこ?どした…あっ、変か、これ?」
うさぎが自分を見つめていることに気付き、制服を着ていた事を思い出した。
大学生の自分が着ているのだから、違和感があるのだろ。そう思いながらうさぎに尋ねた。
「変じゃないよ!変じゃ…。」
うさぎは見とれていたのだ。
いつもとは違う衛の姿に。タキシードや普段の服装とは違い、自分と同じ高校生と言う格好が新鮮で、いつもより幼く見える彼にドキドキしていた。
衛は、うさぎが何時ものように飛び付いて来ないので、自分から近寄っていく。
うさぎは無意識に後退りした。壁に背中があたる。
近くまで来ると衛は壁に片手をつき、除き込むようにうさぎを見た。
自分の制服姿を熱い視線で見ているのを感じた衛はいつもと違う呼び方で彼女に声をかけた。
「月野…。」
急に名字で呼ばれ、真っ赤になっているうさぎに、キスをした。
放心状態の彼女をみて、衛はクスッと笑う。
「惚れ直した?」
声をかけられ、うさぎはハッとする。
「もう〜!まもちゃん、意地悪なんだから!!」
うさぎはいじけつつも、衛の胸に抱きついた。
「ははっ。うさこが俺を見つめるからつい。」
「だって、格好良くてドキドキしちゃったんだもん。まもちゃんは何着ても似合うけど、制服なんて見ることないし。」
素直に感想を述べられ、衛はちょっとはずかしくなる。謝意の言葉の代わりにうさぎの頭を撫でてやる。
「折角来てくれたんだから、今から何処か行くか?」
衛は支度をしようと、うさぎから離れ制服を脱ごうとした。
「ちょっと待って。まもちゃん!こっち向いて。」
衛は驚き、うさぎの方へ向き直す。
うさぎは衛を見つめてにこやかに言った。
「地場先輩。ずつと、ずーと、好きでした。」
衛は急に告白され、面食らう。
「えへっ。私、制服での告白って、憧れてたんだー。まもちゃん、ビックリした?」
うさぎは、頬を赤らめながら満面の笑みを浮かべていた。
この娘はなんて無防備に可愛いんだろう。
衛はうさぎを引き寄せ、ベットに押し倒した。
驚いてるうさぎの耳元に、衛は囁きながら返事をした。
「月野…。俺もずっと昔から君が好きだよ…。」
「まも…。」
最後まで言わさず、唇を人差し指で押さえた。
「地場先輩だろ?」
衛は片手でネクタイを緩めてうさぎに覆い被さりキスをした。
「地場先輩…。」
二人はいつもと違う雰囲気に興奮し、そのまま愛を確かめ合った。
〜あとがき〜
男性のいつもと違う格好にドキドキするのを書きたかったんですが、何故か襲われちゃいました。
男の人が昔の服を着たがるかわかりませんが、衛さんには着て貰いました♪
うさぎちゃんは学校で告白はされても、したことはなさそうですよね〜。